「食べ放題で元を取る人」のメニュー選びに共通する“たった1つの基準”とは?【グルメ専門家が解説】Photo:PIXTA

焼肉きんぐが1位の勝因は?
寿司食べ放題が儲ける秘密

 全国に350店舗以上を展開する、焼肉きんぐ。2023年の売上高は770億円で、焼肉チェーン店の売上高シェアランキングで1位を獲得した(外食産業マーケティング便覧2023、富士経済)。

 その勝因は、店舗がロードサイド中心なので賃料を抑えられ、タッチパネル導入で浮いた人件費を食材費に充てることで、高品質のイメージを創出できたことだ。焼肉特化型でありながらサイドメニューやデザートなどを含めて種類も多く、2880円~、3280円~、4280円~の3コースは使い勝手がいい(いずれも税抜)。ボックス席が中心で、広々として居心地もいいのも好評だ。

 片や、焼肉チェーンの店舗数ランキング(日本ソフト、24年7月)で1位の「牛角」(520店)は、食べ放題の業態ではないが、食べ放題プランを実施することがあり、こちらも人気だ。期間限定が希少価値を生んでいて、新規客の開拓や話題化を狙っており、SNSの反応を見ても影響力は大きい。

 寿司の食べ放題は焼肉ほど多くはないが、5000円前後(男女で数百円の差がある)で120分食べ放題(ラストオーダー90分)の「雛鮨」や、なんと時間無制限(一部は90分)で食べ放題の「築地玉寿司」が人気だ。

 雛鮨は1989年創業の寿司ブッフェ専門の老舗で、新宿や銀座など東京に5店舗を展開。築地玉寿司は基本的にアラカルトだが、新宿や渋谷、横浜など5店舗で食べ放題を行っている。

 寿司の食べ放題では、シャリの大きさを高級寿司の10~15グラムより多い20グラム以上にしたり、高級ネタの貫数を制限したりしている。注文してから握って配膳されるのに時間を要するので、オーダーの回転率は高くない。こういったことから利益を確保してきたが、寿司ネタが高騰している昨今、儲けるのは容易ではない。