
ハリウッドの真ん中で、イーロン・マスクがまたもや話題をかっさらった。2025年7月21日、テスラ初の「ファーストチャージ付き」レストラン〈テスラ・ダイナー〉がオープン。24時間営業の店には、テスラ車だけでなく観光客や投資家、子ども連れまでが押し寄せ、3時間待ちの長蛇の列だ。外では反マスク派が仮面や巨大人形で派手に抗議し、クラクションとスマホのシャッター音が交錯する。賛否も混沌もすべて呑み込んだ、アメリカらしい熱狂をレポートする。(取材・文・写真/ジャーナリスト 長野美穂)
7月オープンの
米テスラ・ダイナーに行ってみた
「さあ、皆でテスラをボイコットしよう。ファシストが売っているバーガーとポテトフライを食べるのはやめよう!」
そんな声が拡声器を通してサンタモニカ大通りに響いた。
サイバートラック(テスラが開発した電動ピックアップトラック)の形をした箱型のプラカードを首から紐でぶら下げた男性が、イーロン・マスク氏の似顔絵の仮面を被っている。彼が手に持っているのは「ケタミン(注・解離性麻酔薬の名称)」という文字がマジックで大きく書かれたビニール袋だ。
中には白い粉が入っており、男性はそれを通行人に見せながら、ひらひらと踊るように歩いている。
ここはロサンゼルス近郊のウェスト・ハリウッド市内だ。7月21日に、イーロン・マスク氏率いるEV大手のテスラが「テスラ・ダイナー」をオープンした。
店舗前には「反イーロン・マスク」を唱えるデモ隊の数十人が、プラカードを持って集結している。
テスラCEOのマスク氏いわく「レトロ・フューチャーリスティック」な雰囲気だという2階建てのこのダイナーは、バーガーやワッフル、飲み物、ヨーグルトなどを24時間提供するレストランだ。
