小学校受験で「子どもの資質」より重視すべき、学校選びの意外なポイントとは写真はイメージです Photo:PIXTA

秋から本番を迎える私立小学校受験。まだ低年齢でも、「お受験」を視野に入れている家庭も少なくない。どんな子が向いているのか。また、どのような心構えで準備すればよいのか。幼児から高校生まで教える人気学習塾「VAMOS」の富永雄輔代表が解説する連載第19回。(進学塾VAMOS代表 富永雄輔、構成/ライター 奥田由意)

小学校受験に合格するための
テクニックはあるのか

 前回、私立小学校受験者が増え、「お受験」への関心が高まっていることをお話しました。では、小学校受験をすると決めた場合、合格するためには何をすればよいのでしょうか。

 巷では私立小学校受験対策を謳う塾や教室が大盛況です。ただ、断言しますが、残念ながら、小学校受験で「必ず合格するテクニック」というものは、基本的に存在しません。どこかの塾に通わせれば合格するというわけでもありません。

 唯一できることがあるとすれば、人として当たり前に身につけているべき礼儀などの基本的なしつけがもっとも重要です。なにかしてもらったら有難うと言う。悪いと思ったらごめんなさいと謝る。食事のときはいただきますやごちそうさまを言うなど、ごく普通のことです。

 もちろん、現実的な側面として、小学校受験の世界には「学校とのつながりや推薦」が通用する面があることも否定できません。特に歴史ある伝統校ではそうした要素によって、学校の理念や目的に深い理解がある家庭と見なされ、学校が理想とする教育を実現しやすいと見なされることもある、ということは覚えておいたほうがよいでしょう。

 一方で、東京農大第一や関西の「関関同立(関西大学・関西学院大学・同志社大学・立命館大学)」などの人気の中高一貫校に近年併設された小学校など、比較的新しい学校も人気が出ていますが、こうした学校は小学校としては比較的新しいため、学校との「つながり」などを重視する余地があまりなく、スタートラインは同じといえます。共働き家庭の子どもも多く通っており、働く母親にとって不利になりにくい環境があります。