「自分も、もっと数字に強ければ…」
日々の買い物や職場で「数字コンプレックス」を感じたことはないだろうか。「算数や数学は大キライ…」「できるだけ見たくない…」中には「数字はもう諦めた」という人もいるだろう。
しかし実は、「数字に強い」は生まれつきの才能ではない。数字に強い人は、無意識のうちに九九などの「頭を使わないラクな計算」を使って、面倒な計算をうまくサボっているのだ。
新刊『「数字がこわい」がなくなる本』は、数字に強い人の脳内を解明した一冊。数字に強い人が無意識にやっている「頭を使わないサボり計算テク」を知れる本書の中から、今回は「数字のとらえ方」について紹介したい。

「そろばんを習わせる」
「子どもに算数を好きになってほしいから、そろばんを習わせなきゃ」と考える親御さんも多いのですが、そろばんを習わなくても計算で遊ぶ感覚は十分味わえます。
さて、算数が得意な子とそうでない子の違いをお話ししましょう。算数が得意な子は、まず数字や計算をおもちゃのようにして遊ぶ時間をたっぷり味わっています。高度な掛け算や割り算を学ぶ前に、数字を並べたり、適当に計算してみたりします。ここで重要なのは正しく解くことではなく、数字を動かすこと自体が面白いと感じる経験です。
子どもが楽しめる「遊びながら計算」
計算で遊ぶやり方を2つご紹介しましょう。
1. 計算式に別の数字を入れてみる
39ד9”=351を解いたあとで、「じゃあ、39ד10”ならどうなる?」と思えば「あ、390か!」とすぐ出せます。計算で遊ぶ経験があると、390から39を引けば39×9が求まる、と気づけるようになります。
2. 答えをざっくり当てはめてみる
210÷15=□なら「10ぐらいかな? 15が10個だと150だから足りないな」と試します。約分や筆算を無理に使う必要はありません。“当てずっぽう”も立派な遊びです。
「好きに数字で遊んでいいよ」と声をかける
ほかにも、たとえば「25×101は2525になるなら、35×101はどうなる? また数字が並ぶかも? ……3535になった!」と自分で計算を楽しむ――そんな遊びが大切です。計算はおもちゃのような遊び道具に変わります。小学校1年生は高度な足し算や引き算はまだ学びませんが、数字そのものの楽しさは十分味わえます。
大きい数を学ぶ小学生向けイベントに登壇した際、私は必ず小学1年生の子に「1のあとに0を好きなだけ書いてみて」と声をかけます。ノートに1000000…と0を50個ほど夢中で書いたあと、「それが世界でいちばん大きい数かな?」と尋ねると、「ちがう! もっと0を書けばいい!」と即答。“数字そのものをいじる楽しさ”を感じられるようにしています。
計算が遊びになれば、それは最高の学習環境です。そろばんやドリルはあとからでも充分。まずは紙と鉛筆を渡し、「好きに数字で遊んでいいよ」と声をかける。それ、面白いね!と肯定して、自信をつけさせ、どんどん遊ばせる――それだけで、算数が得意になる子への大きな一歩となることでしょう。
(本記事は『「数字がこわい」がなくなる本』に関する書き下ろし原稿です)