ドナルド・トランプ米大統領の第1次政権発足以降、貿易の先行きに不安を抱える企業は生産拠点を中国から移すことを基本方針にしてきた。だがトランプ氏による世界的な関税攻勢が数カ月続き、そうした原則は必ずしも当てはまらなくなっている。例えばインドだ。サプライチェーン(供給網)の多様化を目指す企業にとって、インドは中国の代替生産拠点として理想的に思われた。インドの魅力には巨大な人口、米国政府との関係強化、エンジニアと科学者の宝庫であることなどが含まれた。ところが、ウクライナでの戦争終結に向けてロシアのウラジーミル・プーチン氏に圧力をかけようとしているトランプ氏は、ロシア産石油をインドが購入していることに怒りを募らせた。トランプ氏はインドからの輸入品に25%の関税を課し、さらに今月末までに税率をその2倍に引き上げると警告している。そうなればインドへの関税は、米国が中国製品に対してこれまでに発表した約50%の関税と同じような水準となる。
インドに米関税の逆風、揺れる「脱中国」企業
サプライチェーンの多様化を目指す企業はインドが中国に代わる生産拠点になると考えてきた
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