なぜ「定価5000円→2500円」に弱いのか?“つい買ってしまう”を操る行動経済学が面白いほどわかる
【“1年半無収入”からの大逆転ノウハウ】「ワインが好き」――ただそれだけの想いを胸に、安定した職を捨てた一人の男。しかし、彼を待っていたのは“1年半もの無収入”という過酷な現実だった。絶望の淵から、いかにして彼は大逆転を遂げたのか? ネットショップ経験ゼロからスタートし、3年で年商3400万円、5年で6500万円、そして今や年商7億円超のビジネスへと成長させた驚きのノウハウ。それは開業資金ゼロ・在庫ナシ、さらには週1回のパソコン作業からでも始められる限りなくリスクの低い「おウチ起業」。あなたの「好き」を「圧倒的な稼ぎ」に変える全技術を初公開した話題の書『「おウチ起業」で4畳半から7億円 ネットショップで「好き」を売ってお金を稼ぐ!』(ダイヤモンド社)から、人生を変える一歩を踏み出すための秘訣を特別にお届けする。

【店の思うツボ】「送料無料まであと少し」で買わせる店の戦略と、お客がハマる意外な心理のワナPhoto: Adobe Stock

お客様の「つい買ってしまう」心理を解き明かす

お客さんにファンになってもらい、継続的に来店していただくため、知っておくべき知識の1つに「行動経済学」があります

行動経済学とは、心理学的なアプローチで人の購買行動を研究するという経済学の比較的新しい領域です。

これまでの経済学では、人は「最大の利益を追求する」といった合理的な行動をする前提で研究が進められてきました。しかし、人は必ずしも合理的に買い物をしません

行動経済学では、直感や感情によって判断をする理由を研究しており、さまざまな理論が生まれています。

そこで、ショップ運営者が知っておくべき行動経済学の理論をご紹介しましょう。

第一印象が勝負! お得感を演出する「アンカリング効果」

アンカリング効果

最初に与えられた情報がその後の判断や行動に影響を及ぼすことを「アンカリング効果」といいます。

人は先に与えられた情報に影響を受けて、その後の意思決定が左右されるのです

船がアンカー(錨いかり)をおろしたら、そこからほとんど動けなくなることになぞらえています。人は判断を下すときに、無意識になんらかの基準を求めます

そのため私のショップでは、大幅に値引きができる大特価品が入荷したときなどには、「定価5000円が50%オフの2500円」などとしっかりともとの価値を説明し、その価値あるものがお得になっていることを印象づけるようにしています。

「もったいない」が追加購入を後押しする「サンクコスト効果」

サンクコスト効果

これまで費やしてきたお金や労力が惜しくて、さらに続けてしまう心理を「サンクコスト効果」といいますが、サンクコストとは日本語では「埋没費用」です。

もうとり戻せないのに、かけた費用や労力を惜しむ気持ちが、意思決定に影響する傾向のことです

ネット通販では「2000円で送料無料」「商品を5つ買ったらもう1つプレゼント」といった文言がよく見られます。

これは、「せっかく1900円分買うのだから、あといくら(いくつ)買って送料無料にしよう」というお客さんの心理を狙ったものといえるでしょう。