社会的な「成功レール」の崩壊、どんどん不確実になる未来、SNSにあふれる他人の「キラキラ」…。そんな中で、自分の「やりたいこと」がわからず戸惑う人が、世代を問わず増えています。本連載は、『「やりたいこと」はなくてもいい。』(ダイヤモンド社刊)の著者・しずかみちこさんが、やりたいことを無理に探さなくても、日々が充実し、迷いがなくなり、自分らしい「道」が自然に見えてくる方法を、本書から編集・抜粋して紹介します。

「やりたいこと」がない人が、とりあえず挑戦することを見つけるための3つのアプローチPhoto: Adobe Stock

世界を「横」に広げるときに、試したい3つのアプローチ

やりたいことがない人が、自分の道が自然に見えてくるステップとして、本書では最初に「世界を広げて、『強みの種』に刺激を与えること」を提案しています。ここでは、「世界を広げる」ステップの中の「世界を『横』に広げる挑戦」について説明します。

これは、自分が触れたことのない分野や経験に踏み出すことです。新しい趣味を始めたり、未知の技術を学んだり、異なる分野のコミュニティに参加したりするなど、今までの自分の興味の範囲を超えて、新しい世界に触れてみることを指します。

新しい世界、と考えたときに、「あれを習いたい!」「あの国に行ってみたい!」とすぐに思い浮かぶ人は、さっそく挑戦しましょう。

でも「そもそもやりたいことがないのだから、何をしたらいいかわからない」という場合、3つのアプローチ方法があります。

挑戦したい世界を見つける3つの方法

1つ目は、自分の感覚に頼る方法です。

これまで見なかった情報に意識的に触れて、自分のアンテナに引っかかるものを探してみましょう。

例えば、本屋で普段は見ない棚の本や雑誌を見てみたり、SNSで自分の知らない分野の人をフォローしてみたり、街を歩くときにいつもと違う道を選んでみるなど、目に入る新しい情報との出会いを増やしてみます。

そこで自分の心が「面白そう」「もう少し知りたい」と反応したものに、挑戦をしてみます。

2つ目は、周囲の人に頼る方法です。

周りの人に「最近何か興味を持っているものは?」「面白かったことある?」といった質問をして、自分もやってみることです。

仲の良い友人や家族が体験して良かったと感じていることなら、自分も何かを感じる可能性が高いでしょう。

また、その人から直接話を聞けるので、始める前の不安も軽減できますし、自分1人では気づかない魅力も教えてもらえます。

3つ目は、かつての自分に頼る方法です。

子どものときにやってみたかったことで、やり残したことはありませんか?

どんな小さなことでもかまいません。私の場合は、ホールケーキを1人で食べる(切らずに、丸ごとフォークで攻めました)、ドクターマーチンのブーツを買う(「THE BLUE HEARTS」に憧れていたのです)、野球の試合を東京ドームのバックネット裏で見る(巨人vs.楽天戦でした)、といったことをやりました。

これらの一つひとつは特別なことではありませんが、満足感は格別でした。

そして、ドクターマーチンを履いていたことで仲良くなった人がいたり、野球をバックネット裏で見たことが前節で書いた野球場の個室の発見につながったりと、新たな広がりを生みました。

まずはこういった3つの方法を試してみて、自分がさらに深めてみたいと思った新しい世界に飛び込んでいくのがおすすめです。

*本記事は、しずかみちこ著『「やりたいこと」はなくてもいい。 目標がなくても人生に迷わなくなる4つのステップ』(ダイヤモンド社刊)から抜粋・編集したものです。