社会的な「成功レール」の崩壊、どんどん不確実になる未来、SNSにあふれる他人の「キラキラ」…。そんな中で、自分の「やりたいこと」がわからず戸惑う人が、世代を問わず増えています。本連載は、『「やりたいこと」はなくてもいい。』(ダイヤモンド社刊)の著者・しずかみちこさんが、やりたいことを無理に探さなくても、日々が充実し、迷いがなくなり、自分らしい「道」が自然に見えてくる方法を、本書から編集・抜粋して紹介します。

迷子にならずに世界を広げるためには?
「やりたいこと」や「目的」が見つからなくても、「自分の道」が自然に見えてくるようになる4つのステップを本書では紹介していますが、最初のステップが「世界を広げ『強みの種』に刺激を与える」ことです。
世界を広げると聞くと、海外旅行や転職など、大きな変化を伴う行動をイメージするかもしれません。もちろん、そういった大きな挑戦も有効ですが、日常の小さな変化からでも十分に世界は広がります。
そうは言っても、適当に知らないことに手を出したり、やみくもに知識を詰め込んだりするだけでは、脈絡のない世界の広がりの中で、途方に暮れてしまいます。
そこで、前回の連載では、迷子にならずに世界を広げるポイントは次の3つだとお伝えしました。
① 世の中の「仕組み」を知る
② 世界を「縦」に広げる挑戦をする
③ 世界を「横」に広げる挑戦をする
なぜ最初に、世の中の「仕組み」を知るべきなのか?
迷子にならないためには、今の自分の場所をきちんと把握することが大事です。そのためにまず「①世の中の『仕組み』を知る」ことで、自分がいる世界の構造を把握します。私たちの住む社会がどのように機能しているのか、その基本的な仕組みを理解することで、自分がいる位置や選択肢を客観的に捉えられるようになります。
さらに実際に「②世界を『縦』に広げる挑戦」をして、自分がいる場所にある違う視点を知ります。縦に広げるとは、自分が関わっている分野や環境の中で、より深く、あるいは異なる視点から探索をすることです。例えば、同じ職場でも、異なる部署の人と話したり、違う役職の視点から考えたりすると新たな発見があります。
そして「③世界を『横』に広げる挑戦」をして、自分がいる場所とは別の世界に触れていきます。横に広げるとは、全く新しい分野や環境に触れることです。趣味を始めたり、異業種の集まりに参加したり、今まで関心がなかった本を読んだりすることで、自分の中の未知の領域を開拓します。
これらを同時並行で行うことで、迷子にならずに世界が広がっていきます。それぞれの方法について、本書で詳しく説明していきます。
世界を広げる活動をしていると、ある瞬間に「これだ!」という感覚に出会うことがあります。何かを学んだり体験したりするときに、時間を忘れるほど夢中になったり、「もっと知りたい」「もっとやりたい」という強い欲求が湧いてきたりします。
それが、あなたの中の強みの種が反応している瞬間です。
世界を広げるときに注意したいこと
世界を広げる過程では、様々な挑戦をすることで「飽きっぽい人」に見られることを恐れないでください。強みの種に様々な刺激を与えるためには、ある程度理解して満足したら、次に行くことが重要です。
ある程度理解したことを教えてくれるのが「飽きる」という感覚です。飽きたら次に行きましょう。飽きっぽいことに罪悪感を感じる人も多いですが、STEP1の「世界を広げる」では“積極的に飽きる”必要があります。
飽きっぽくないと世界が広がらないので、安心して飽きっぽい人になって、強みの種に水や養分をたっぷりと浴びせましょう。
*本記事は、しずかみちこ著『「やりたいこと」はなくてもいい。 目標がなくても人生に迷わなくなる4つのステップ』(ダイヤモンド社刊)から抜粋・編集したものです。