社会的な「成功レール」の崩壊、どんどん不確実になる未来、SNSにあふれる他人の「キラキラ」…。そんな中で、自分の「やりたいこと」がわからず戸惑う人が、世代を問わず増えています。本連載は、『「やりたいこと」はなくてもいい。』(ダイヤモンド社刊)の著者・しずかみちこさんが、やりたいことを無理に探さなくても、日々が充実し、迷いがなくなり、自分らしい「道」が自然に見えてくる方法を、本書から編集・抜粋して紹介します。

ギリギリまで動かなかったことで、プラス、マイナス、どちらが多い?
本書では、やりたいことがない人が自分の道を見つけるための最初のステップとして「世界を広げて『強みの種』に刺激を与える」ことを提案しています。
世界を広げるといっても、なかなか挑戦できない人もいると思います。まずは「動け!」という人も多いとは思いますが、その考えに違和感を感じるタイプの人もいると思います。
私の場合は、グズグズと先送りにしたことが、振り返ればプラスになったという経験が何度かあります。
安い海外旅行のツアーの申し込みを先送りしていたら、その旅行会社が倒産してしまったり、気になるサービスの申し込みを迷っていたら入会金半額キャンペーンが始まったりと、すぐに動かなくてよかったと思ったことが多々あります。
このように、ギリギリまで動かなかったことでプラスになった経験が多いならば、無理して動く必要はありません。やってみたいし、リスクも許容範囲内だとわかっているのに、どうしてもそのとき動く気になれないものは、動きたいという気持ちになるまであえて保留してください。
逆に、振り返ってみたとき「先送りして得した」という経験より「先送りしてチャンスを逃してしまった!」と感じる経験のほうが圧倒的に多いという人は、「なるべく早く動く」ことを心掛けたほうがいいかもしれません。
いずれにせよ、許容範囲内の失敗は、いい経験であり学びの1つです。新しいことを始めるときに、全てがうまくいくことはめったにないので、予定通りに行かないことのほうが普通だと思っていたほうがいいと思います。
世界を広げる目的は「経験を積むこと」で「成功すること」ではない
世界を横に広げる挑戦で大切なのは、無理して頑張ることではありません。
新しい挑戦に抵抗がある際は、自分の守るべきラインを意識しながら、自分のペースで進められる範囲で、新しい世界に触れてみることです。
また、新しい挑戦の目的は、新たな経験をすることであって、成功することではありません。
新しい経験をして、自分に合わないと感じることがあっても、それは失敗ではありません。自分に合わないとわかったことも、自分の「強みの種」を見つけるための大切な手がかりとなります。
たとえ望む結果が得られなくても、その一つひとつの経験が、自分自身をより深く理解することにつながっていきます。
*本記事は、しずかみちこ著『「やりたいこと」はなくてもいい。 目標がなくても人生に迷わなくなる4つのステップ』(ダイヤモンド社刊)から抜粋・編集したものです。