米国の風刺報道サイト「ジ・オニオン」を1年前に買収した当時、新たなオーナーたちは衰退しつつある紙媒体の購読者に事業の命運を賭けた。その賭けは奏功している。ジ・オニオンの購読契約者数は5万3000人を超え、購読料は月額最大9ドル(約1300円)に上る。最近では米書店大手バーンズ・アンド・ノーブルと印刷版の新たな販売契約を締結し、2025年の売上高は600万ドルに伸びると見込んでいる。24年初めには200万ドル未満だった。ジ・オニオンは黒字化していないが、ベン・コリンズ最高経営責任者(CEO)は、来年の黒字転換を目指している。「郵便物が嫌な物ばかりではないことは、人々に好評だ」と話す。同社の業績は、読者の習慣が変化してデジタル購読での競争が激化する中でも、昔ながらのメディア商品がニッチ市場を見いだせることを示している。