ジェローム・パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は先週、米国の労働市場は「奇妙な均衡状態」に入ったと述べた。労働需要は冷え込んでいるものの、労働供給が急激に減速したため、失業率は安定を保っている。労働供給の減速の背景には、移民流入を巡る劇的な変化がある。米国史上最大級の移民の波が、ほぼゼロになったのだ。エコノミストらは、これが微妙ながらも長期的な影響をもたらす可能性があると指摘している。不法入国の事実上の停止に加え、国外退去の強化と外国人に対する環境の悪化により、今年の純移民数は数十年ぶりにマイナスになる可能性があると、一部の専門家は予測している。パウエル氏が示唆したように、これは短期的にはプラスの効果がある。労働需要の低迷が、現在4.2%と歴史的な低水準にある失業率を必ずしも押し上げるわけではないということだ。しかし長期的には、経済の潜在成長力を制限し、財政赤字を拡大させる可能性がある。
米移民の歴史的減少、雇用市場をどう変えるか
移民流入の減少で失業率は当面低水準で安定するが、このままでは長期的な経済成長が損なわれる
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