トランプ氏のFRB掌握の試み「未知の領域」にPhoto:Bloomberg/gettyimages

 ドナルド・トランプ米大統領による連邦準備制度理事会(FRB)のリサ・クック理事解任の試みは、独立した機関であるFRBとその金利に関する広範な権限を掌握しようとする取り組みの中で、これまでで最も劇的な一手となっている。

 トランプ氏は数カ月にわたり、経済を押し上げ、住宅をより手頃な価格にし、国の債務返済コストを引き下げるため、FRBに利下げを要求してきた。また、ジェローム・パウエル議長が早期に利下げに踏み切らなかったとして厳しく非難してきた。クック氏を交代させることで、7人の理事会メンバーに十分な数の賛同者を加え、パウエル氏の意見を覆して金利を自身の望む方向に動かす可能性がある。

 ペンシルベニア大学の金融・法律学者、ピーター・コンティブラウン氏は25日夜、「FRBの独立性が何を意味するかといえば、金融政策が現職大統領の気まぐれで決定されるべきではないということだ」と述べた。「これが通常の慣行になれば、われわれが知るFRBの独立性は終わりを迎えることになる」

 トランプ氏によるクック氏解任の決定は、大統領がFRBに対してどれだけの権限を持つかを巡って対立を引き起こした。クック氏は25日夜、トランプ氏には自身を解任する権限はなく、職務を継続すると述べた。同氏の弁護士であるアビー・ローウェル氏は26日、クック氏が役職を維持するため訴訟を提起する方針だと明らかにした。FRBは裁判所の判断に従うとし、独立性への取り組みを継続すると表明した。