欧州に悲報、米高級ブランドに人気集中Photo:NurPhoto/gettyimages

 高級品業界で直近5年間の投資リターンが最も良かったのは、仏エルメスなどの常連ではなかった。コーチを傘下に持つ米タペストリーが予想外のトップで、米ラルフローレンが2位だった。

 ラルフローレンとタペストリーの株価は年初来でそれぞれ29%、55%上昇。2024年は株主総利回りが60%超だった。より高価格で老舗の欧州高級ブランドの貧相な同類とみなされることもあるブランドにしては悪くない。予想株価収益率(PER)ももはや欧州勢に比べて大幅な割安ではない。

 直近の決算発表では、欧州勢と米国勢の業績格差が広がっていることが示された。直近四半期の売上高はコーチが前年同期比13%増、ラルフローレンは同11%増だった。

 エルメスやブルネロ・クチネリなど超富裕層向けの一部の欧州ブランドは、米国ブランド並みの水準を維持している。プラダが所有する若年層に人気のミュウミュウも同様だ。ただ、グッチやLVMHのファッション・レザー部門といった主要な高級ブランドは需要が落ち込んでいる。バンク・オブ・アメリカ(BofA)によると、欧州高級ブランドの売上高は4-6月期に平均で前年同期比3%減少した。

 コーチとラルフローレンが厳しい市場で成長し続けている要因の一つは、若年層をターゲットにしていることだ。コーチは4-6月期に北米で100万人の新規顧客を獲得したとしており、その大半がZ世代かミレニアル世代だった。