
難聴は耳の老化。この記事を読んでいるあなたは「難聴は高齢者がなるもので、働き盛りの自分には関係ない」と思っていないでしょうか。しかし「私、実は難聴なんです」「片耳だけ聞こえません」という人は、言わないだけで意外と多いものです。さらに最近、特にコロナ禍以降は、若い世代にも難聴が増えているのだそう。難聴になりやすい人のチェックリスト、難聴にならないためのイヤホンやヘッドホンの選び方・付け方を耳の名医に聞きました。(エディター、ライター 高橋 満)
難聴は耳の老化現象。悩んでいる人は、実はかなり大勢いる
「ん?何かおかしいな……」
私が自分の右耳に違和感を覚えたのは、今年の3月上旬のことでした。最初は飛行機に乗ったときに起こる“つまり”がある程度だったので、そのうち治るだろうとタカをくくっていました。
しかし2週間ほどたってもつまりが取れる気配はなし。さらにあまり経験したことのない低音の耳鳴りがずっとしているし、ビルの空調や換気扇など「特定の音」がやたらと入ってきて耳の中で鳴り響く。
これはおかしい……と思って耳鼻科に行くと「低音障害型感音難聴」という診断を受けました。薬を処方されたものの、難聴&耳鳴りは良くなる気配がありません。耳鳴りは低音だけでなくさまざまな音が入り交じるようになったし、居酒屋やファミレスといった「ざわざわした場所」や電車の中では、同席した人の話がまともに聞き取れない。
「これは良くない。いろいろな人に迷惑をかけることになる」と思い、Facebookで自分が難聴であることを告白すると、「私も数年前から難聴で……」という声が次々に届きました。さらにインタビューの際に「突発性難聴になってしまったので時々話を聞き返すかもしれません」と相手に伝えると、「実は私も難聴なんです」と言われることも少なくない。自分が難聴になったこと以上に、同じ悩みを抱えている人があまりにも多いことに驚きました。
「難聴は耳の老化現象。50代を過ぎると難聴が始まる人が多くなります」
こう話すのは、馬車道木村耳鼻咽喉科クリニック院長で『1万人の耳の悩みを解決した医師が教える 耳鳴りと難聴のリセット法』の著者である木村至信(しのぶ)先生です。