私自身の経験談:働き方の調整

私はクリニックを開業しましたが、それをずっと続けているとキャパシティオーバーになると分かったため、少しずつ診察日を減らすなど、段階的に業務を継承できるように準備を進めました。

そしてクリニックは事業承継し、こうして情報発信をしたり、原稿を書いたりすることを中心に活動しています。原稿執筆は比較的疲れにくいのですが、それでも効率よく動ける午前中だけにする、といった工夫もしています。そして、空いた時間を使って、元気な範囲で友人のクリニックで診察をさせてもらう、という形に落ち着きました。

この働き方だと、心身ともに非常にラクです。「もう少しできるかな」と感じるくらいが、おそらくちょうど良いのだと思います。

「赤信号」になる前に行動を変える

このような働き方の調整は、すぐには実現できないかもしれません。しかし、長期的な視点で調整していくことが大切です

また、短期的に限界ラインを越えそうになったときのために、自分の中に「黄色信号」と「赤信号」の基準を作っておくことをおすすめします。そして、信号が変わったら、それに従ってすぐに行動を変えることを意識してください。

ご自身の「アウトになるライン」を見極めておくことは、非常に重要です。それさえできていれば、基本的にはご自身のやりたいことを優先して良いと私は思います。もちろん、主治医と相談しながらですが、「せっかくだから、まずはやってみよう。ただし、信号が変わりそうになったら、すぐに行動を変えよう」というスタンスです。

重要なのは、早めに行動を変えることです。

元気なうちに「やらないこと」を決める

一度「赤信号」の状態に踏み込んでしまうと、正常な判断能力が失われ、そこから抜け出せなくなってしまいます。だからこそ、「これ以上やるとアウトになる」という一歩手前の、まだ元気なうちに対処しなければなりません。

心身ともに余裕があるうちに、「これ以上はやらない」と決めておくこと。これが、ご自身を守りながら、やりたいことを続けていくための非常に大事なコツだと、私は考えています。

※本稿は『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)の著者による特別原稿です。