子どもが少し大きくなっても、親の悩みや不安は尽きません。今日もイヤな叱り方をしてしまったと、落ち込むことも……。きれいごとでは進まない子育てでうまく立ち回るために、23年間の小学校教師経験を含む40年超の実績のある教育評論家・親力アドバイザーの親野智可等:著『ずるい子育て』(ダイヤモンド社)に頼ってみませんか。本連載では、多種多様な子どもたちとその保護者に向き合って生まれた「親がラク&子どもが伸びる」一石二鳥のテクニックを紹介していきます。

「どうしてこの子は…」悩み続けた母がたどり着いた答えPhoto: Adobe Stock

 子育て中の親御さんとしては、子どもが着替え、片づけ、食事、勉強など何かにつけテキパキ行動してくれるとありがたいですよね。

 逆にマイペースだったりだらしがなくて片づけが苦手だったりすると困りますし、そういう子にはついきつい言葉を投げかけてしまうことがあると思います。

 また、「自分の育て方やしつけのせいでこんなになってしまったのではないか。いまのうちに直さなければ」という思いがあるので、よけいに言葉が強くなってしまいます。

 でも、私が今まで多くの子どもたちを見てきて言えるのは、こういうことは育て方のせいというより生まれつきの資質によるところが大きいということです。

 つまり、テキパキできる子も片づけができる子も生まれつきなのです。

 親の育て方がよかったわけでも、本人が特にがんばっているわけでもないのです。

 また、マイペースな子や片づけが苦手な子も生まれつきです。

 本人のせいでも親のせいでもないありません。

 その証拠に、きょうだいを同じように育ててもまったく違ってくるという事実があります。

 同じきょうだいでもテキパキできる子とまったくそうでない子がいます。

 片づけができる子とできない子がいます。

 親の育て方やしつけで決まるなら、きょうだいが全員できるようになるか全員できないようになるかどちらかのはずです。

 このようなわけで、親御さんは子どもも自分も不必要に責めるのはやめましょう。

 もちろん、子どもを助けるための工夫をしてあげることは大切です。

 例えば、テキパキできない子にはやるべきことを見える化するお支度ボード片づけが苦手な子にはワンタッチ収納やラベリングなどの工夫です。

 それでもできない場合は、手伝ったりやってあげたりすればいいと思います。

 子どものうちに直らなくても、大人になって仕事や生活で必要性を感じるようになれば、それなりになんとかなるものです。

 マイペースだったりだらしがなかったりする子には、優しい癒やしの力があったり創造的だったりなど長所がいっぱいあります。

 だらしがないことを叱っていると長所も消えてしまうので、長所に注目してプラス思考で伸ばしてあげてください。

 その方が親もラクで楽しく子育てができますし、子どもも伸びます。

 つまり、長い目で見てコスパもタイパもいいということになります。

◆本稿は『ずるい子育て』(ダイヤモンド社)の著者・親野智可等が子どもに関わるすべての人に伝えたい書きおろしメッセージです。