「火事のおかげじャ」ダイソー創業者が自宅を放火されてもポジティブになれたワケPhoto:PIXTA

100円ショップのダイソーを展開する大創産業の創業者・矢野博丈氏は起業の頃、大変なトラブルに巻き込まれた。それは誰もが落ち込むような不運であったが、めげずに、大躍進できた。背景には彼のポジティブな考え方があったからだが、米国の研究においても成功が裏付けされたものだった。(イトモス研究所所長 小倉健一)

人生大逆転!ダイソー創業者の底力

 夜の闇に紛れ、ひとりの男が木刀を握りしめて歩いている。男の眼には、暗い情念の炎が宿っていた。行き先は、近所に住む老婆の家。

 噂によれば、その老婆は植木泥棒であり、さらに恐ろしいことに放火魔の疑いも持たれていた。男の自宅兼事務所は、直前に火事で全焼している。

「あの婆さんの背中、おもいっきり叩いて、半身不随にして動けんようにしちゃろう」

 復讐心に駆られた男の名は、矢野博丈。後に世界的な巨大企業「ダイソー」を築き上げることになる創業者その人である。『百円の男 ダイソー矢野博丈』(大下英治著、さくら舎)では、矢野氏の波瀾万丈な人生が描かれている。

 もしこの夜、警察の介入がなく、矢野氏が老婆への傷害事件を起こしていれば、現在我々が知る100円ショップの帝国は存在しなかったにちがいない。

 人生において、断ち切るべき「悪縁」というものが存在する。日本では古くから、神社での「縁切り」祈願や、仏教的な因果としての悪縁を断つ思想が根付いてきた。

 欧米においても「Cut ties(縁を切る)」や「Toxic people(有毒な人々)」を遠ざけるという概念があり、洋の東西を問わず、成功や幸福のためには、ネガティブな要素を排除することが不可欠であるとされている。