上田 この10月に、中央官庁の新しい組織として、観光行政を指揮する「観光庁」が発足しました。「中央官庁に外局施設が新設されるのは、実に金融庁以来8年ぶり」ということで、期待が集まっています。
そこで今回は、日本の観光行政、つまり外国人訪問客を増やすにはどうすればいいのかを考えましょう。この観光庁の創設には、竹中さんも一役買ってらっしゃるんですよね?
竹中 直接ではありませんが、2001年に経済財政政策担当大臣に就任した際、地方を活性化する切り札の1つとして、「観光」をアピールし始めたのは私です。
その時に、当時官房長官だった福田康夫前総理が官邸に勉強会を作ってくれたんです。それが発展して02年に骨太方針に「観光の振興」が掲げられ、そして03年からの「ビジット・ジャパン・キャンペーン」につながって行ったという経緯があります。
ただし、この度やっと観光庁の設置が実現しましたが、まだまだ課題が多いのが実情です。
上田 なるほど。それでは、まず日本の観光の現状を見てみましょう。
日本を訪れる外国人観光客の数は、毎年確実に増えています。00年から日本への団体旅行が解禁された中国、05年からビザが不要になった韓国や台湾といった、アジアの国々からの観光客が増加しているのが主な理由ですね。07年の旅行者数は835万人と、5年前から1.5倍に増えました。さらにこの10年間で見ると、倍増しています。