上田 皆さんは、自分が住んでいる都道府県がなくなると言われたら、どう感じますか? 現在、この都道府県を廃止して、日本の自治体を新たな区分に再編成しようという「道州制」議論が浮上しています。今回は、道州制の是非や、そのあるべき姿を考えてみましょう。
竹中 要は、地方に自由を与えて色々な責任を国から譲渡する「分権」の考え方。分権に関する議論では、道州制の話は必ず出てきますよね。
上田 私は熊本県、竹中さんは和歌山県の出身ですが、そういう従来の都道府県がなくなることは、少し寂しい気もしますね。
竹中 その通りですが、地方を強くするためには仕方がないとも言えます。今まで手紙を出すときに、「和歌山県和歌山市何々町」と書いていたのが、たとえば「近畿道和歌山市何々町」と書かなくてはいけなくなる。そうなれば、確かに「ちょっと世の中変わったな」と感じますよね。
上田 それでは、そもそも「道州制」とは何なのか? これは、都道府県を10前後の道と州のブロックに分け、自治性の高い広域自治体にしようという試みです。国から地方自治体への「地方分権」の重要性が叫ばれるなか、地方により大きな権限を持たせて、地域の実情に合った効率的な行政を行なうための仕組み作りです。
竹中 つまり、「地方でできることは地方でやろう」という考えなんです。その際、最も重要な単位になるのが、「基礎自治体」(市町村)ですが、問題はその膨大な数。現在、地方自治体は約1800もありますが、これでも「平成の大合併」で数が減ったくらいなんです。2002年時点では、じつに3200もあったんですよ。
そのような流れのなかで、今後1つの県のなかに大きな市町村ができ始めると、本来、市町村にはできない仕事をやるべき県の仕事がなくなってしまう。つまり、「県という単位は、行政単位としてはやはり小さすぎる」ということがわかって来たんです。そこで、県という単位をもっと大きくした「道州制」の導入が必要だと言われているわけです。