上田 今夜は「国際都市・東京の現状とその未来」について考えましょう。
実は、今回はスペシャルゲストをお招きしています。東京の地図を塗り変え、最近は上海にも進出されるなど、世界規模で活躍されている森ビルの森稔社長です。
森 よろしくお願いします。
上田 森ビルの建物は、今や東京中に数えられないほどたくさんあります。その開発の中心となっているのが港区ですが、それには何か理由があるんですか?
森 もともと私は、祖父・祖母の代から港区に住んでおり、縁が深いですね。港区の中心は山手線の盛り場から少し外れていますが、大きな屋敷がたくさん残っていたこと、区画された土地が多かったことなどにより、土地をスーパーブロック化(一体化)して大きなビルを作り易かったんです。また、多くの大使館や公邸が集中しており、国際色が豊かなので、建物の特色が出し易かったこともあります。
竹中 最近は国内だけでなく、海外展開も積極的ですね。超高層ビルが立ち並ぶ上海で森ビルが手がけて今年8月にオープンした「上海環球金融中心」(ワールド・フィナンシャルセンター)は、東京の六本木ヒルズの2倍、まさに仰ぎ見るような高いビルなんですよ。
日本初の「都市総合力ランキング」
分野別、主体別にマトリックス評価
上田 実は、今回森社長をお招きしたのは、理由があります。竹中さんが所長を務める「森記念財団 都市戦略研究所」では、去る10月22日に、世界の都市総合力ランキング「Global Power City Index」を発表しました。これは、都市の総合力をランキングする調査としては、日本初となります。
竹中 私はこの番組の中で、「東京を強くしないと日本が強くならない」と折に触れて言い続けてきましたが、以前から、東京の実力を改めて見直してみて、いったいどこに問題があるのか調べてみたいという気持ちがずっとありました。
実際、これまでは外国が作る都市ランキングばかりで、しかも金融やビジネスなどの特定の分野に特化されているものが多く、都市を総合的に評価するランキングがほとんどなかった。そこで独自に都市ランキングを作ろうと思い、この1年間、森記念財団のプロジェクトとして専門家の方々と議論を重ね、ついに発表に漕ぎ着けたというわけです。
このランキングでは、「グローバル・パワー・シティ」という名称を使い、都市の持つパワーをインデックス(指標)化してみました。