ただ、そういう保護政策で解決できないのが「労働者」の問題だ。いくら国が最低賃金を1000円程度に抑えて、人件費圧縮を手伝ったところで、そういう低賃金で文句も言わず働く「奴隷」のような人材がきてくれないと、多くの中小企業は潰れてしまうのだ。

 そこで政府がひねり出した国策が、「外国人労働者の受け入れ拡大」というわけだ。

 つまり、JICAや外務省が「移民推進などしていません」と言いながら裏で「ホームタウン」を掲げて、せっせとアフリカの人を呼び寄せようとしているのは、日本転覆を図っているわけではなく、ごくシンプルに「日本企業の99.7%を占める中小企業の権益を守るため」なのだ。

「いやいや、移民が大量に押し寄せて治安が悪化して、日本人の仕事が奪われるようになったら権益もへったくれもないだろ」とブチギレする人も多いだろう。だが、歴史的に見ても政治家や役人というのは目先の権益を守ることで頭がいっぱいになり、国民を不幸にするという本末転倒なことになりがちなのも「お約束」なのだ。

 先ほど紹介した満州への移民推進も、とどのつまりは「満州国の権益を守る」という目的のための国策だ。しかし、治安が悪いので現地では多くの日本人が暴徒に襲われた。そして、太平洋戦争が始まってからも、ソ連防衛のために日本人移民はそのまま放置された。結果、満蒙開拓団27万人のうち、8万人が侵攻してきたソ連軍によって殺されたのだ。

 令和日本の「外国人労働者政策」もこれと同じ臭いがプンプンする。中小企業経営者の団体「日本商工会議所」は自民党の有力支持団体なので、これからも「外国人労働力の受け入れ拡大」を政治に求めていく。そうなると、政治家にアゴで使われる官僚たちもこの大方針に従わざるを得ない。

 つまり、移民問題というのは実は中小企業問題なのだ。技能実習生を厳しく管理したり、在日外国人コミニティを問題視したりしても、外国人労働者が一向に減らないのはこれが理由である。そして、恐ろしいのは、この動きがもはや誰にも止められないことだ。

 もし政治家が「小さな会社も頑張って外国人じゃなくて日本人を雇えよ」などと言おうものなら「中小企業に死ねということか」と袋叩きにされて落選するだけだ。今この国で最も強いのは「経済的弱者」なのだ。

 アフリカからの移民を恐れる前に、日本のタブーになりつつある「中小企業問題」をもっと怖がったほうがいい。

意味がわかるとゾッとする…外務省がアフリカ交流事業に「ホームタウン」の名称を使った“本当の理由”
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