インターネットよりも歴史の古い研究所の奥深くで、エンジニアはある巨大な科学的・工学的課題にせっせと取り組んできた。次のテックブームの引き金となるハードウエアをいかにして作り出すか、という課題だ。米IBMが所有するこの研究所は、米グーグルや米マイクロソフト、さらに多くのスタートアップ企業との新たな競争で優位につけている。目標は「量子優位性」、つまり量子コンピューターが最高性能の従来型コンピューターの能力を上回ることだ。古参のIBMは時価総額1兆ドル(約146兆円)規模の競合に決して引けを取っていない。