30年後に絶望的な差がつく、オルカンとロボアドの決定的違い
ゴールドマン・サックスに入社し、マネージング・ディレクターに就任、アジアのトレーディングチームを率いた。その後、200兆円超の運用残高を誇る世界有数の機関投資家・ゆうちょ銀行で投資戦略を牽引。そんなマーケットの最前線を知り尽くしたトレーダーが、個人投資家が一生使える「オルカン」「S&P500」の“次の投資術”を徹底指南した初の著書『最後に勝つ投資術【実践バイブル】 ゴールドマン・サックスの元トップトレーダーが明かす「株式投資のサバイバル戦略』(ダイヤモンド社)では、投資初心者でも実践できるよう、徹底的にわかりやすく投資手法を体系化。ゴールドマン・サックス仕込みの「投資思考」や「オルカン+4資産均等型」といった実践的なポートフォリオ(資産配分)の構築方法、有望な個別株の見つけ方まで、すぐに役立つノウハウが満載!
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私がロボアドに感じる「2つの価値」
ネットだけで取引が完結するロボットアドバイザー(ロボアド)ロボアドには、2つの価値があると私は考えています。
価値①:金融知識は不要、スマホ一つで完結する「操作性」
1つは、操作性のよさです。証券会社で口座を開設するのは手間がかかり、その後の商品選びも面倒です。
しかし、ロボアド最大手「ウェルスナビ」やSBIグループ傘下「フォリオ」などのロボアドアプリは、限られた信頼できる金融商品を提供し、たとえ金融知識がなくてもスマホ1つで商品選びができるシンプルさにおいて優れています。
私個人としては、この操作性のよさだけでも利用する価値があると感じています。
価値②:おまかせできる「自動運用の便利さ」
もう1つの価値は、自動運用の便利さです。自分でわざわざポートフォリオ(資産構成割合)などを考えなくても、投資目的やリスク許容度に応じた投資をしてくれるという意味で、優れたサービスであることは間違いありません。
注意が必要なのは、主要なロボアド各社のサービスは自動運用に約1%の手数料がかかるということです。
プロが見た「コスト負け」という不都合な真実
この手数料は長期投資のコストとしては大きく、プロとして活動した経験からいうと、継続的に1%を超える超過リターン(α)を生むファンドはほとんど見たことがありません。
ということは、せっかくリターンを得ても“コスト負け”してしまうということです。
長期で見るほど開いていく、リターンの差
例えば、日本と先進国の株式と債券に25%ずつ投資する「4資産均等型」の投資信託を買い、年率3.5%で10年、30年と運用すれば、それぞれ1.4倍、2.8倍のリターンとなります。
一方、ロボアドに投資して信託報酬を支払った場合のリターンは1.3倍、2.1倍です。
その差は埋められるのか?
ベールに包まれた運用の実力
このリターンの差をロボアドの自動運用の成果で埋められればよいのですが、それが可能かどうかはなんともいえません。というのも、そうした説明が大手のロボアド提供会社からなく、情報開示が十分ではないからです。
手間を省くか、リターンを追求するか
ロボアドよりも低コストで有利な選択肢
運用を任せて手間を省けるという意味でロボアドは優れていますが、ロボアドを使うことによる超過リターンが、コストを超えない可能性があることは覚えておいたほうがいいでしょう。
その意味では、三菱UFJアセットマネジメントのオルカン(eMAXIS Slim 全世界株式<オール・カントリー>」や、日本の年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)をベースとするポートフォリオを、自分の年齢やリスク許容度に応じてシンプルにアレンジして運用するほうが、ロボアドよりも低コストで有利なリターンを得られる可能性が高いです。
※本稿は『最後に勝つ投資術【実践バイブル】 ゴールドマン・サックスの元トップトレーダーが明かす「株式投資のサバイバル戦略』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。











