ドルの「世界の基軸通貨」としての地位は危ういのだろうか。そう考える人もいる。ドナルド・トランプ米大統領の関税政策や米国の債務増大、さらに米国が外交政策の手段として金融制裁を用いていることが理由だという。2022年にドル取引が禁じられたロシアは、中国人民元建ての国際取引に移行した。他の国々も代替手段を模索している。米国の世界経済への過度な関与が終わり、政府債務の積み上がりを受けて米連邦準備制度理事会(FRB)が低金利政策を余儀なくされ、インフレとドル安を引き起こすとの懸念があるためだ。しかし多くの人にとって、そうした主張は現実離れしているように思える。ドルが広く利用され、米経済が巨大であるという事実は、ドルの国際的な役割が安泰であることを意味する。だが、こうした楽観的な見方をする人は、ドルがかつて覇権を失ったことを忘れている。この話は語り継ぐ価値がある。
ドルは覇権を失うか? 過去には1度あり
20世紀初頭のドルの台頭と衰退、今日の政治指導者は教訓にすべき
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