
ロシアのウクライナ攻撃で悪名高いイラン製ドローン「シャヘド」が壊滅的効果を発揮する中、米国とその同盟国も低コストながら長距離攻撃が可能な模倣品の開発を競っている。
高度な装備を持つ軍の部隊では数十年にわたり精密攻撃には高価なミサイルを使い、大量砲撃には安価な砲弾を使用してきた。だがウクライナでの戦争では、ドローンは安価ながら正確であることが示された。シャヘドは1機あたり数万ドル(数百万円)程度のコストながら、1000マイル(約1600キロ)以上を飛行できるとみられている。
イランが手掛けるこれらのドローンは、防空網を圧倒するうえで特に効果的なことが証明されている。ロシアは衝突時に爆発するシャヘドを一度に多数発射し、同時にミサイルも発射することで、防空網を回避する確率を高めている。
オランダ空軍および宇宙軍の司令官であるアンドレ・シュトゥール中将は、ウクライナでの戦争は手頃な価格で長距離飛行が可能なドローンが重要であること、また欧米各国がこの分野で後れをとっていることを浮き彫りにしたと述べた。
米国、中国、フランス、英国などの企業は、シャヘドを模倣した無人航空機(UAV)の開発に着手。ウクライナも少なくとも2年前から長距離ドローンでロシアを攻撃しているが、最近ではシャヘドに酷似した三角形の翼を持つUAVの使用を開始している。
だが欧米各国はこの分野で大幅な後れを取っており、コスト高騰などさまざまな課題に直面しているとアナリストらは指摘する。