
PHOTO: MICHELLE GUSTAFSON FOR WSJ
米国で段ボール箱に対する需要が低迷している。ピザからオーブンまで、さまざまな商品が段ボール箱で運ばれることを考えると、これは消費の変調を示唆する警告サインかもしれない。
ボール紙工場の歴史的な閉鎖ラッシュはまた、段ボール箱を製造する企業や、それらの企業に木材を販売する森林地所有者とっても人ごとではないことを示している。
米国最大の段ボール箱メーカーである インターナショナル・ペーパー は8月、国内のボール紙工場2カ所を閉鎖すると発表した。
ジョージア州のサバンナとライスボロにある工場が9月末に完全閉鎖されると、米国は約8カ月間でボール紙生産能力の約9%を失うことになる。これは2009年の景気後退時に失われた能力の約2倍だ。
「これほどの規模の閉鎖は見たことがない」。包装業界アナリストを長年務め、現在は経済ニュースレターを執筆するアダム・ジョセフソン氏はそう語る。
段ボール箱の出荷量は、新型コロナウイルス流行時に記録的な高水準に達したが、足元では2016年以来の低水準まで落ち込んでいる。国民1人当たりベースでは落ち込みがさらに激しく、1999年のピークから20%以上減少したとジョセフソン氏は言う。
インターナショナル・ペーパーのアンディ・シルバーネイル最高経営責任者(CEO)は今月、同社では今年の需要を約1%増と予測していたが、現在は2%減を見込んでいると投資家に語った。
現在のような電子商取引(EC)全盛時代にこうした反転が見られたのは驚きだ。小売業者に一括配送されていた商品の宅配が増えることで、これまで以上にボール紙が必要になると予想されていたからだ。
この論理はコロナ流行時に実現したように見えた。米国人が巣ごもりを余儀なくされ、経済刺激策がモノへの支出を大幅に押し上げた際、段ボール箱への需要は記録的水準まで上昇した。
ボール紙生産者は、前例のない需要の高まりだけでなく、天然ガスや化学品などのコスト急増を理由に、価格を大幅に引き上げた。段ボール箱の需要が減少し始めた後も、生産者はインフレと利益率への圧力に対抗するため値上げを続けている。