これは、いわば原子力のムーンショットだ。米国は月面に原子炉を運び込み、同じことを目指す中国とロシアに打ち勝とうとしている。米航空宇宙局(NASA)のショーン・ダフィー長官代行は8月、2029年後半までに原子炉を月面に着陸させる取り組みを迅速化するよう指示した。NASAは100キロワットのシステムを必要としている。これは小さな住宅街をまかなう程度の電力で、地球ではささやかな規模だが、宇宙では前例がない。NASAはごく限られた時間で複雑極まりない構想に実現のめどをつけるという課題を負った。原子炉の設計、月への搬送、運用は米国企業に頼る算段だ。参画した企業は、険しい技術的ハードルと財務上のリスクに直面するだろう。
月面原発の建設めざすNASA 課題は
中国とロシアも計画、新たなエネルギー競争へ
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