もっと早く知りたかった…なぜ今、デキるビジネスパーソンは星新一にハマるのか?
文芸作品を読むのが苦手でも大丈夫……眠れなくなるほど面白い文豪42人の生き様。芥川龍之介、夏目漱石、太宰治、川端康成、三島由紀夫、与謝野晶子……誰もが知る文豪だけど、その作品を教科書以外で読んだことがある人は、少ないかもしれない。「あ、夏目漱石ね」なんて、名前は知っていても、実は作品を読んだことがないし、ざっくりとしたあらすじさえ語れない。そんな人に向けて、文芸評論に人生を捧げてきた「文豪」のスペシャリストが贈る、文芸作品が一気に身近になる書『ビジネスエリートのための 教養としての文豪』(ダイヤモンド社)。【性】【病気】【お金】【酒】【戦争】【死】をテーマに、文豪たちの知られざる“驚きの素顔”がわかる。ヘンで、エロくて、ダメだから、奥深い“やたら刺激的な生き様”を大公開!
※本稿は、『ビジネスエリートのための 教養としての文豪』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。
イラスト:塩井浩平
「ショートショートの神様」は
財閥の御曹司
星新一のおすすめ著作
◯『ボッコちゃん』(新潮文庫)
新一自身が選んだ50編をまとめた自選短編集。表題作の『ボッコちゃん』では、人間そっくりの美しい女性ロボット「ボッコちゃん」に恋に落ちてしまう青年の皮肉な運命が描かれます。そのほか、フジテレビ系『世にも奇妙な物語』でドラマ化された『おーいでてこーい』など、有名作が多く収録されています。星新一入門編としていかがでしょうか。
◯『明治・父・アメリカ』(新潮文庫)
父・一の生涯と星家の歴史を描いた伝記。肉親のことを書いた作品でありながら、非常に簡潔な文章で客観的に書かれており、とことんコンパクトで切れ味のいい短編を大量に書いてきた新一の筆力が、存分に発揮されています。
◯『未来いそっぷ』(新潮文庫)
『アリとキリギリス』『北風と太陽』など、イソップ童話をモチーフに書かれた物語のほか、読み応えのある33篇が収録されたショートショート集。これぞ星新一と膝を打ちたくなるようなピリッと風刺の効いたストーリー展開に、あっという間に読み終わってしまうこと間違いなし。
話題の引き出し★豆知識
渡米のきっかけとなった明治のベストセラー『自助論』
星一がアメリカ行きを決めたきっかけの1つが、明治時代にベストセラーになった『自助論』です。イギリスの作家サミュエル・スマイルズの書いた同書は、当時『西国立志編』というタイトルで出版され、血気盛んな日本
の青年たちの心を打ちました。
西洋の文明国において、ニュートンなど貧しい生まれの者が、どのようにして成功していったのかという立身出世伝を並べた内容です。「天は自ら助くる者を助く」という格言とともに、「自尊自立の精神」や「新しい明治国家を作る」というムードが、若い人たちの間に広がっていきました。

