韓国語を学び始める人の多くは、旅行やエンタメがきっかけになることが多い。そんな韓国語初学者に絶大な人気を誇るのが、書籍『ゼロからわかる! 楽しく続けられる! 韓国語1年生』(ハングルノート加藤・著)だ。ブログやYouTubeで発信を続け、本の出版にもつながった加藤氏。「気軽に始めた韓国語の勉強が自分のキャリアを思わぬ方向に広げた」と語る加藤氏に、韓国語学習の魅力を聞いた。(構成:照宮遼子)

【話題の初心者向け韓国語学習本の著者に聞く!】韓国語の勉強によって得られた思いがけないチャンスとは?Photo: Adobe Stock

コロナ明けにバズった「韓国への渡航情報」の配信

――加藤さんのキャリアの中でターニングポイントだったと思う出来事はありますか。

ハングルノート加藤(以下、加藤):一番大きかったのはコロナが明けたタイミングですね。2019年にYouTubeを始めて「韓国旅行チャンネル」をやろうと思っていたんですけど、2年くらい渡航できない状況になってしまいチャンネルも伸び悩んでいました。

――あの頃は、入国のルールがすごく複雑でしたよね。

加藤:2022年の夏ごろにやっと行けるようになったんですけど、そのときもPCR検査やいろんな書類が必要で、しかも情報がバラバラでわかりづらかったんです。だから僕が毎日「今日からこう変わりましたよ」という感じで発信していました。

――その発信は日本の旅行者にとってかなり役立ったんじゃないですか。

加藤:おかげさまでYouTubeの登録者数が一気に1万人に増え、本当に大きなきっかけになりました。韓国語をやっていなかったら、そもそも正しく調べて伝えること自体できなかったと思います。

小学生から「韓国に留学するには?」という質問も。まだまだ続きそうな韓国ブーム

――そうした経験を踏まえて、韓国語を学ぶことの価値をどう見ていますか。

加藤:ビジネスだと英語や中国語を選ぶ人も多いですけど、韓国語にはまた違った可能性があると考えています。「韓国に留学したいけど、どうすればいいですか?」と小学生から問い合わせをもらったことがあり、「彼らが大人になってからも韓国語を続けるかもしれない。そうしたら、この先何年も韓国語ブームは続きそう」と感じました。

――小学生のときに関心を持ったことは、その後の人生にも影響しそうですね。

加藤:そう思います。10代で好きになったものって、大人になっても残りますからね。僕も10代でパンクロックにハマって、今でもずっと好きです。だから今の若い人たちがK-POPや韓国文化に熱中しているのを見て、この流れは長く続くなと確信しました。

――なるほど。韓国語を学ぶことは将来にわたって強みになるということですね。

加藤:ブームが落ち着くことはあっても、消えることはないと思います。韓国語を学んだ人は、10年後も20年後も必ず役立つ場面に出会えるはずです。

勉強も仕事も「完璧主義」より「スピード感」が大事

――韓国語を学ぶ中で気づいたことが、働き方や物事の進め方につながっている部分はありますか。

加藤:ありますね。最初のころは発音を完璧にしようとしすぎて嫌になることもあったんですけど、続けていくうちに「まずは慣れるほうが大事だな」と思うようになったんです。その感覚は仕事でも同じで、実際に韓国で働いてみると、一つ一つを仕上げるより前に進めるスピードのほうが求められるんだと実感しました。

――日本の感覚とは少し違いますよね。

加藤:韓国では、ある程度できたら次に行くのが普通で、そのスピード感が大切なんです。だから僕も「完璧じゃなくてもまず進もう」と考えるようになって、そのほうが仕事もうまく回るようになりました。韓国語の学びから得たこの姿勢は、今のキャリアに直結していると思います。

【話題の初心者向け韓国語学習本の著者に聞く!】韓国語の勉強によって得られた思いがけないチャンスとは?ハングルノート加藤氏

韓国語を届ける、新しい挑戦のかたち

――本書の中で「韓国旅行のことならハングルノート加藤に聞くのが一番!」と言われたい、と書かれていましたよね。その目標に向けて具体的に動いていることはありますか。

加藤:これまで通りYouTubeなどでの発信を続けていくのはもちろん、最近は講演のお話をいただくようにもなりました。

――活動の場がどんどん広がっていますね。

加藤:本当にありがたいです。今後は書店さん主催のオンラインセミナーで韓国旅行についてお話しする機会などもあり、直接声を届けられるのはすごく新鮮で、また新しい挑戦だと感じています。

――そうした活動とあわせて、本も多くの人に届いていますよね。

加藤:そうだと嬉しいです。『ゼロからわかる! 楽しく続けられる! 韓国語1年生』には、自分が勉強で挫折したからこそ気づけたことをぎゅっと詰め込みました。韓国語を楽しみながら続けたい人にも、キャリアの可能性を広げたい人にも役立ててもらえたら嬉しいです。

(本稿は『韓国語1年生』に関する書き下ろし特別投稿です)

ハングルノート加藤
韓国語ブログ「ハングルノート」管理人

1985年、愛知県生まれ。27歳のときに、韓国人女性と付き合い始めたことをきっかけに、韓国語の勉強を始める。最初の数年は、韓国語自体にさほど興味を持てず、韓国語がまったく身につかなかった。30歳のときに、ワーキングホリデーを利用して韓国国内の企業で就業(日本語で勤務)。32歳でWeb制作会社を起業。本格的に韓国語を学びたいと思い、35歳で韓国へ語学留学。梨花女子大学校、ソウル市立大学校、西江大学校で修学。37歳のときに、西江大学校語学堂6級を卒業。自身の勉強のメモ帳がわりにつくり始めたブログ「ハングルノート」は、開始8年で月間最大180万PV、60万UUを突破。「勉強のポイントがわかりやすい」「韓国のことがよくわかる」と評判に。韓国旅行YouTuberとしても活動し、人気を集めている。