韓国語を覚えたい! と思って、勉強を少し始めてみようかな、としたものの、韓国語の文字や単語、文法を覚えるのが大変で挫折してしまった……。そんな経験を持つ人は少なくないだろう。最初から「完璧に覚えなきゃ」と力んでしまうほど、続けるのは難しくなる。初心者向けの著書『ゼロからわかる! 楽しく続けられる! 韓国語1年生』を出版したハングルノート加藤氏は、そんな「壁」を経験した一人だ。今回は加藤氏が実際に経験した学習の壁、モチベーションの波との向き合い方、そして独学から留学へ踏み出すまでの話を聞いた。(構成:照宮遼子)

最初の関門は「韓国語の文字」
――韓国語を勉強しようと思って、最初に立ちはだかる壁が「韓国語の文字(ハングル)」を覚えることですよね。英語のアルファベットのように小中学校では習わないので、覚えるのが大変そうですが、加藤さんも苦労しましたか。
ハングルノート加藤(以下、加藤):そうですね。最初は一生懸命ハングルを覚えようとしていました。でも、「全部覚えたぞ!」と思っても、1週間とか1か月後には忘れてしまったり、ということもありましたね。
――やっぱり韓国語は英語よりも習得するのが難しいですかね。
加藤:英語なら文字や発音など、学校の授業で触れたり、映画や音楽で自然と耳に入ってきたりしますよね。でも韓国語は日本にいると、触れる機会がほとんどないんです。だからこそ自分から積極的に飛び込んだり、自分の意志で勉強を継続していかないといけなかったりするところが、韓国語の難しいところだと思います。
完璧に覚えようとしないことが、上達への近道
――学習が思うように進まないと、続けるのがつらくなることもありますよね。そういうときはどうしたらいいでしょうか。
加藤:無理に一気に覚えようとせず、少しずつ慣れていくことが大切だと思います。勉強を続けていれば文字も自然に頭に入ってくるので、「覚える」より「慣れる」という感覚で取り組むと気持ちが楽になりますね。
――文字を完璧に覚えてからでなくても大丈夫なんですね。
加藤:はい。たとえば韓国の方の場合、独学で日本語を学んでいる人が多くて、漢字は書けなくても日本語はペラペラだったりするんです。
そんな感じで、日本人が韓国語を学ぶときも、最初から文字を完璧に覚える必要はないと思います。
まずは音や会話に慣れて、そのあとで文字を覚えるくらいでちょうどいいんじゃないでしょうか。
独学の限界、その先に見えた留学という選択
――加藤さんは語学留学もされていますよね。留学前は、日本でどのように勉強されていたのでしょうか。
加藤:本を読んではいましたが、正直あまり勉強は進まなかったですね。勉強を始めてから最初の7年間は、韓国語に触れる時間といえばブログの記事を書くときくらいでした。多少は勉強になっていましたが、どちらかと言えば仕事の頭でやっていたのでそのバランスが難しかったですね。
――留学を決めた理由について教えてください。
加藤:留学前にはすでにYouTubeを始めていて、発信のために独学で勉強していました。その流れでTOPIKの初級レベルの2級までは取れたのですが、やはり独学だけでは限界を感じていたんです。「それなら思い切って留学するのが一番だ」と考えて決めました。
「必要性」があったから、勉強を続けられた
――勉強に全力で取り組むようになったのも、語学留学してからでしょうか?
加藤:そうですね。留学先で「韓国語を覚えなきゃいけない」という必要性を感じていたのが大きかったと思います。日本にいて、とくに目標がなく、勉強する必要性がなかったときは、全然身につかなかったので。
――勉強って、やる気が出る日もあれば出ない日もありますよね。加藤さんはその波とどう付き合っていたんでしょうか。
加藤:やる気が出ない日は無理にやらずに「今日はやらない。明日やろう」と割り切っていました。逆に「やる」と決めたときは、この時間にこのページをやる、この単語を覚える、みたいにスケジュールを組んで進めていました。

勉強のモチベがなくなっても、いつでも再開できる
――これまでの歩みを振り返って、韓国語を始める初心者の方に伝えたいことはありますか。
加藤:最初から全部完璧にやろうとしなくて大丈夫です。僕自身、単語やフレーズ、文法を覚えても忘れてしまったり、途中で勉強をやめてしまったりした時期もありました。でも、どこかで「またやろう」という気持ちが残っていれば、続けていけるんです。
――一度止まってしまっても、また始めればいいんですね。
加藤:大事なのは、やめないことよりも「いつでもまた始められる」と知っておくこと。コツコツ積み重ねていけば、いつか必ず力になります。だから「全然覚えられないから自分には無理だ」と思わずに、少しずつでも韓国語に触れていってほしいです。
――なるほど、その視点があると気持ちが楽になりますね。
加藤:そうですね。『韓国語1年生』でも、無理なく続けられるように工夫して書きました。ただ文法や知識を紹介するのではなくて、「自分にもできそう」と思ってもらえる一冊にしたかったんです。これから始める人も、勉強から離れていた人も、ぜひ手に取ってもらえたら嬉しいです。
(本稿は『韓国語1年生』に関する書き下ろし特別投稿です)
韓国語ブログ「ハングルノート」管理人
1985年、愛知県生まれ。27歳のときに、韓国人女性と付き合い始めたことをきっかけに、韓国語の勉強を始める。最初の数年は、韓国語自体にさほど興味を持てず、韓国語がまったく身につかなかった。30歳のときに、ワーキングホリデーを利用して韓国国内の企業で就業(日本語で勤務)。32歳でWeb制作会社を起業。本格的に韓国語を学びたいと思い、35歳で韓国へ語学留学。梨花女子大学校、ソウル市立大学校、西江大学校で修学。37歳のときに、西江大学校語学堂6級を卒業。自身の勉強のメモ帳がわりにつくり始めたブログ「ハングルノート」は、開始8年で月間最大180万PV、60万UUを突破。「勉強のポイントがわかりやすい」「韓国のことがよくわかる」と評判に。韓国旅行YouTuberとしても活動し、人気を集めている。