韓国語に興味がある、ちょっと勉強したいなと思っている人におすすめなのが、『ゼロからわかる! 楽しく続けられる! 韓国語1年生』(ハングルノート加藤・著)だ。本書は韓国語の文字、基礎的な文法、日常会話はもちろんのこと、韓国文化や韓国の人気観光スポットも紹介。「めちゃくちゃわかりやすい」「韓国にさらに興味を持った!」と絶大な支持を集め異例のヒットとなっている。今回は著者・ハングルノート加藤氏に、韓国語の勉強を通じて見えてきた「日本文化と韓国文化のちがい」について語ってもらった。(構成・照宮遼子)

韓国人には建前が通じない?「今度ご飯に行きましょう」が誤解を生む理由Photo: Adobe Stock

「建前」が通じない!? 日本文化とのギャップ

――日本語と韓国語でちがいを感じた部分はありますか?

ハングルノート加藤(以下、加藤):そうですね。一番驚いたのは「遠回しの表現」が通じないことですね。

日本だと「ちょっと考えておきます」と言えば、「やりたくないんだな」と察してもらえますよね。だけど韓国では、はっきり「やる」「やらない」を言う必要があります。仕事でも恋愛でも、人間関係すべてにおいて「ストレートさ」が求められるんです。

――社交辞令で「今度ご飯行きましょう」なども通じないかもしれませんね。

加藤:はい。韓国ではそれが本当の約束になってしまうので注意が必要です。

「今度ご飯行きましょうね」と軽い社交辞令を言ったつもりが、いつまでも予定を立てないと相手からは「いつ行くの?」とつめられることも(笑)。

こういうささいな言葉でも、文化を知らないとすれちがいの元になってしまうんです。

――2年間の語学留学から日本に戻ったとき、韓国で身についた感覚は抜けましたか?

加藤:自分では気づかなかったのですが、日本人の方と普通に話しているつもりでも、けっこう強い直接的な表現で話していることが多かったみたいです。

話しているときに、相手から「なんか強いね」と驚かれることがありました(笑)。文化の違いを実感する瞬間でしたね。

韓国人には建前が通じない?「今度ご飯に行きましょう」が誤解を生む理由ハングルノート加藤氏

敬語ひとつで見えてくる人間関係のあり方

――そうしたちがいは、他にも感じることはありましたか。

加藤:日本だと自分の会社の人を紹介するときは、上司でも呼び捨てにしますが、韓国では「◯◯部長様」みたいに役職名の後にも「様」をつけるんです。

また、母親のことは、家の中ではふつうに「オンマ」(韓国語で「お母さん」の意味)と呼びますが、人前では「お母様がいらっしゃいます」のように、母親についても敬語で話すんです。

――日本とは全然違いますね。

加藤:そうなんです。人前に出ると自然に改まった表現に切り替えるんですよ。敬語の使い方ひとつにも文化のちがいがはっきり出ていて、そこがすごくおもしろいところだと思います。

韓国人は行動が早い! 「パルリパルリ文化」

――韓国で生活してみて、影響を受けたことはありましたか。

加藤:行動の速さですね。いわゆる「パルリパルリ文化」と呼ばれるもので、本当に思い立ったらすぐ動くんです。

日本だと会議で計画を立ててから実行する流れが多いと思いますが、韓国では「考える前にまずやってみる」ことが普通です。そのスピード感に触れて、僕も「動きながら考える」ようになりました。

――韓国での生活で、その速さを実感する場面はどんなときでしたか。

加藤:人気のあったお店があっという間に閉店するなんて当たり前で、古いガイドブックではあまり役に立たなかったりします。韓国の方は失敗しても、その分トライが早いので、そこから学ぶこともすごく多かったですね。

文化を知ることで広がる新しい視点

――韓国語を学ぶことで、言葉だけではなく文化にも触れられるんですね。

加藤:はい。相手の考え方や社会の仕組みを知ると、「日本の当たり前」を俯瞰的に見ることができ、自分の価値観も自然に広がっていくなと感じています。

――単なる語学以上に、生活や考え方にも影響しているんですね。

加藤:僕にとって韓国語は、ただの語学ではなくて、「新しい視点をくれるもの」だと思っています。『韓国語1年生』でも、文法や発音はもちろん、文化のちがいについても交えながら、楽しく続けられるような内容になっているので、韓国に興味がある方はぜひ読んでみてほしいです。

(本稿は『ゼロからわかる! 楽しく続けられる! 韓国語1年生』に関する書き下ろし特別投稿です)

ハングルノート加藤
韓国語ブログ「ハングルノート」管理人

1985年、愛知県生まれ。27歳のときに、韓国人女性と付き合い始めたことをきっかけに、韓国語の勉強を始める。最初の数年は、韓国語自体にさほど興味を持てず、韓国語がまったく身につかなかった。30歳のときに、ワーキングホリデーを利用して韓国国内の企業で就業(日本語で勤務)。32歳でWeb制作会社を起業。本格的に韓国語を学びたいと思い、35歳で韓国へ語学留学。梨花女子大学校、ソウル市立大学校、西江大学校で修学。37歳のときに、西江大学校語学堂6級を卒業。自身の勉強のメモ帳がわりにつくり始めたブログ「ハングルノート」は、開始8年で月間最大180万PV、60万UUを突破。「勉強のポイントがわかりやすい」「韓国のことがよくわかる」と評判に。韓国旅行YouTuberとしても活動し、人気を集めている。