米州兵がシカゴ周辺に集結、州知事などが反発の声上げるPhoto:Anadolu/gettyimages

【シカゴ】トランプ米政権がイリノイ州で州兵を連邦管轄下に置いたことに対し、現地や州の政治家が激しく反発している。同州では数百人規模の州兵が集結する中、多くの人々が抗議の声を上げている。

 イリノイ州のJB・プリツカー知事(民主)は訪問先のミネアポリスで、来年の中間選挙を前にドナルド・トランプ大統領が民主党を支持する有権者を威嚇しようとしていると指摘。今回の行動もその前兆だと示唆した。

 プリツカー氏は、「大統領は大都市のわれわれ全員に、街頭に軍隊がいることが当たり前だという考えに慣れさせたいようだ」と米紙ミネソタ・スター・トリビューンが主催するノーススター・サミットで発言。「投票所の外に兵士がいるのを目にすることになる。それは多くの人々を威嚇するだろう。特に共和党員ではない人々を威嚇することになる」とした。

 ホワイトハウスのアビゲイル・ジャクソン副報道官はこれに対し、トランプ氏は「プリツカー氏が進んで行っているような、米国の都市を悩ませている無法状態」に目をつぶることはしないと説明。大統領は連邦職員と資産を保護するため、合法的な権限を行使したと説明している。

 米北方軍によれば、シカゴ大都市圏にはイリノイ州から300人テキサス州から200人、合わせて約500人の州兵が集結している。プリツカー氏はテキサス州兵が先に連邦管轄下に置かれていたとし、イリノイ州兵はまだ「準備中」だとした。

 トランプ氏はこれまでも、移民当局の保護と犯罪対策の必要性を理由に国内で軍の展開に向けて取り組みを行ってきたが、その中で民主党が主導権を握る複数の州と対立。同氏は7日、記者団に「シカゴは素晴らしい都市だが、殺人や数多くの問題を抱えているなら素晴らしい都市になれない。彼らは実際に問題を抱えている」と述べた。