米政権、経済成長を約束する新たな姿勢を模索Photo:Anadolu/gettyimages

【ワシントン】米国の雇用が伸び悩んで根強いインフレも続く中、ドナルド・トランプ大統領の複数の顧問が有権者の不安を払拭するため、経済に関する新たなメッセージを打ち出すよう同氏に助言している。

 これら顧問は「来年まで待て」を新たなスローガンに掲げている。政権高官を含む事情に詳しい複数の関係者によれば、顧問たちはトランプ氏との非公開の話し合いでは、不安定な経済指標にこだわるのではなく、2026年1-3月期にはデータが改善し始めると主張してバラ色の見通しを描こうとしている。

 米国の8月の雇用統計では、非農業部門の就業者数が前月からわずか2万2000人の増加にとどまった。だがスコット・ベッセント財務長官に近い関係者によれば、ベッセント氏はトランプ氏に対し、「大きく美しい」税制・歳出法による政策が来年に向けて完全に実施されれば、雇用統計は上向き始めると伝えた。

 また政権高官によれば、大統領執務室での非公開会合では他の複数の顧問がトランプ氏に対し、低調な雇用統計を公の場でどう取り上げるかは大統領次第だと説明。将来を指し示すことで、単にその情報を軽く流すこともできると伝えたという。複数の顧問はその際に、2025年が終わりに近づくにつれて経済指標は改善を示すとトランプ氏に保証していた。

 トランプ氏自身も、ここにきて論調を変えている。同氏は再選するうえで経済がカギを握ってきたものの、現在は移民、犯罪、そして自身が敵と見なす相手との決着に焦点を当てることを好んでいる。