つまり高市トレードは、15日に総理になれなかったらそこで終わり。連立や野党との連携が成立して高市内閣が誕生した場合でも、これまで口にしてきたことがやれない局面がどんどん出てきます。
偏向するメディア報道は
判断材料にならない
つぎに報道メディアの機能不全の問題があります。国民の間ではオールドメディアの報道が偏向しているのではないかという強い疑念が生まれています。そのため情報をSNSに頼る人が人口の一定数存在します。日本だけの問題ではなく、世界共通の問題です。
この問題はたとえばトランプ大統領について顕著にみられます。トランプ大統領が何か政策を打ち出すと、日本では基本的に否定するトーンで報道されます。アメリカでは批判するメディアと肯定的なメディアに色が分かれます。どう報道するかをメディアが決めている点ではどちらも問題だと思います。
高市総裁についても公明党幹部との会談後の記者会見の準備中の映像で、「支持率下げてやる」という報道関係者の言葉が音声で拾われて拡散しました。
報道によれば報道関係者のジョークが拾われたということですが、メディアという権力者のジョークは笑えません。ひとりひとりの権力はちんけなものでも、集まると世論が操作できるという点では威力は小泉進次郎陣営のステマと同じです。
誰の音声かはその日のうちに永田町の議員の間には情報として伝わった一方で、当事者の時事通信が報道したのは2日後。当然知っていた他メディアも忖度してそれまでは報道を控えます。
オールドメディアを信じない一部の国民は、ますますSNSに情報拡散を頼るようになるでしょう。そのSNSも世論操作されている点では同じなのですが。
今回の総裁選の情報を総合的に捉えると、基本的に国民の支持が一番大きかったのは高市候補(当時)でした。党員票も高市氏が圧倒的に多く、総裁選に勝った直後の街頭でも支持する声が多くみられました。しかし国民と政治家、国民とメディアは考えが違うのです。
結局のところ政界にもメディアにも敵の多い高市氏がいい政治を行えるかどうかが不透明なうえに、行えているのかそうでないのかのファクトがつかみにくい状況が起きています。