たとえば石破首相は元防衛大臣で、高市総裁と同じく国防を重要課題だと認識しています。それでミサイルの増強には力を入れるのですが、親中派の大臣がスパイ防止法に大反対します。やることが一貫しないのです。
経済をよくするには国内の投資を増やせばいいというのが経済学の常識です。実際、熊本のTSMCと北海道のラピダスという二大半導体先端工場プロジェクトで、地元経済が大いに潤って地価も上昇しています。ふたつのプロジェクトに合計して約8兆円の投資が行われるのですから、地元経済が成長するのは当然です。
なので、継続的に日本経済を成長させるのであれば同規模の投資をどんどん増やせばいい。ところが石破政権は、経済界の意を汲んでアメリカに80兆円投資をすることを約束してしまいます。
輸出産業はほっとしたのですが、同じ投資を国内に振り向けていたら未来の経営者たちがどれだけ恩恵を受けたかわからないほどのインパクトがあった金額です。要は高齢の経団連の意見を採用した結果、若手のビジネスパーソンの未来が奪われた形です。
投資という観点ではJR東海が9兆円規模で投資している中央リニア新幹線は、環境問題による工事の遅れで開業時期が後ろ倒しになっています。もともと再来年には開業して大きな経済効果を生むことを期待していたのですが残念です。たぶん私が生きている間には全線開業はできないでしょう。
これも政治問題で、連立を組む公明党が国土交通省を担当していて、その意に沿わない投資だということでしょう。環境を重視する理念はわかりますが、企業が投資した9兆円で穴を掘るだけの状態が放置されれば、日本経済が発展しないのは当然です。
自民党の中でも親米から親中まで、資本主義から社会主義までさまざまな主張を持つ議員の集合体です。ですからそもそも党内はまとまらない。これが機能不全の原点です。
それに加えて、連立の幅を広げると、さらに左の意見を汲まなければならなくなります。保守本流で右寄りの尖った思想を持つ高市早苗総裁が権力をふるえる環境からは程遠いのです。