JICAアフリカ・ホームタウンサミットで「JICAアフリカ・ホームタウン」認定状を授与された千葉県木更津市ナイジェリアのJICAアフリカ・ホームタウンとして認定された千葉県木更津市(同市HPより)

SNSで「アフリカ移民が押し寄せる」との噂が拡散。発端は外務省所管のJICAが認定した「ホームタウン」だ。なぜ国際交流で「故郷」を意味する言葉が使われたのか?実はこの名称には、日本政府の“本当の狙い”が隠されています。歴史を紐解けば見えてくる、不都合な真実とは。(ノンフィクションライター 窪田順生)

「ホームタウン」の名称
透けて見える政府の本音

「アフリカの人たちが日本にたくさん押し寄せて、アフリカの街ができるってホント?」

 先日、10代の若者と話をする機会があり、そこで深刻そうな顔でこんな質問をされた。聞けば、インスタやTikTokで「日本政府がアフリカ人に街を明け渡したぞ!」と喜ぶ、アフリカの人々の映像などがどんどん流れてくるのだという。

 この手のアプリは一度、動画を再生すると関連する動画がレコメンドされていく。ほどなくして、アフリカの治安の悪さや、現地を旅行した外国人女性たちが性暴力被害に遭ったことをまとめた映像がバンバン流れてくるので、「日本やばくない?」と背筋が冷たくなったというのだ。

 なぜこんな“恐怖映像”がSNSで大バズりしているのかという「ホームタウン騒動」のせいである。

 発端は8月21日、JICA(国際協力機構)がアフリカ開発会議(TICAD)に合わせて、ナイジェリア、モザンビーク、タンザニア、ガーナとの交流を進める目的で、国内4つの地方自治体を「ホームタウン」と認定したことだった。これが「移民推進ではないか」と炎上し始めたところ、超ド級の火薬が投入される。