
広告業界では、広告販売においてより支配的となっているデジタル広告の入札について、透明性に関する新たな基準を設けるよう主要企業が連携して呼びかけている。
こうした入札では、ユーザーがウェブサイトを訪問し、検索を利用し、あるいは、動画を再生し、ソーシャルメディアのフィードを使用するなどした場合にどの広告が表示されるかが決定される。
業界の自主規制団体であるメディア・レーティング・カウンシル(MRC)によれば、全デジタル広告販売の80%が、1社によって運営される「クローズドループ」型の入札で行われている。またアルファベット傘下のグーグル、インスタグラム親会社のメタ・プラットフォームズ、そしてアマゾン・ドット・コムなどのオークション運営者は、自社のプロセスについて広告主にどの程度開示するかも決定している。MRCは意見を公募するため先月、今回の案を公表していた。
MRCが示した基準を採用する企業は、運営する入札の種類や落札者の決定方法を明らかにすることになる。また手数料や割引、さらに入札最低額など自社プラットフォームでの価格に影響する要因を含む重要な情報を開示することにも同意する。大幅な変更があった場合も、これを開示することになる。
広告大手オムニコム傘下の代理店OMDワールドワイドのベン・ホーバネス最高メディア責任者(CMO)は、「われわれはこのエコシステムに透明性をもたらそうとしている」と説明。同氏は約2年前にMRCに働きかけて基準の策定を開始し、運営委員会の委員長も務めた。
提案された開示内容が広告主企業にとって重要な理由は、こうした入札では必ずしも最高額を提示した入札者が落札するわけではなく、また、最終的に支払われる価格も必ずしも落札者が提示した金額とはなっていないためだ。