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早稲田大学と慶應義塾大学が、相次いで「帰国子女入試」の廃止・縮小を発表しました。
両校はこれまで長年にわたり、帰国生受け入れの代表的大学として知られてきましたが、その方針は大きく転換されつつあります。
すでに早稲田では2024年度入試(2025年4月入学)をもって「複数学部共通募集」の帰国子女入試を終了。2025年度以降は、学部ごとの独自選抜へ完全移行します。教育学部では「英語英文学科」「生涯教育学専修」に限り帰国生入試を継続しますが、理工三学部(基幹・創造・先進)はすでに帰国子女枠を廃止しています。
一方の慶應では、文学部・商学部・看護医療学部・薬学部が2025年度から帰国生対象入試を停止。さらに2025年6月、SFC(総合政策・環境情報学部)も2026年度をもって同入試を終了すると公表しました。
“帰国生の登竜門”として知られた制度の再編は、私立大学入試の方向性そのものを問い直す動きと言えるでしょう。
帰国子女入試が次々と姿を消す
まずは、各大学の動きを整理してみましょう。
早稲田大学は2024年度入試を最後に、複数学部共通で実施していた帰国子女入試を停止しました。これは、学部ごとの教育目標や人材像に応じた個別制度への移行を目的としたものです。教育学部では限定的に継続する一方、理工系では完全に一般入試・AO型に一本化されています。
慶應義塾大学でも2023年秋以降、段階的な制度整理が進みました。文学部・商学部・看護医療学部・薬学部が2025年度入試から帰国生入試を停止し、続くSFCも2026年度で終了予定です。以後は総合型選抜や一般選抜を通じて多様な出願者を評価していく方針が明示されました。
帰国子女受け入れの象徴だった早慶が、同時期に入試制度の再編に踏み切ったことは、時代の転換を象徴する出来事と言えます。







