電車内の優先エリア写真はイメージです Photo:PIXTA

大人の日々は「選択」の連続です。ピンチをチャンスに変えるには、どうすればいいのか。高い評価や人望や信頼をたくさん得られるのは、どっちの選択肢か。微妙な状況への立ち向かい方を通じて、より大きな幸せをつかめるトクな道を探りましょう。(コラムニスト 石原壮一郎)
※「お悩み」は編集部で作成した架空のモデルケースです。

今回の「お悩み」

 上司と取引先へ。電車は立っている人がちらほらという混み具合である。

 車椅子とベビーカーの優先エリアで上司と並んで壁にもたれて立っていたら、ベビーカーを押した母親が乗ってきた。自分は「あ、ごめんなさい」と言ってすぐ場所をあけたが、上司は知らん顔でスマホをいじっていて動こうとしない。

 注意するか。放っておくか。さて、どうしたものか?

選択のポイント

 優先エリアを必要とする人がいないときに、そこに立っているのは何の問題もありません。もちろん、必要とする人が乗ってきたら、すぐに場所を譲るのが大前提であり、当然のマナー。

 しかし、この上司のように「?」な態度を取る人もたまに見かけます。ベビーカーに恨みでもあるのか、他人にやさしくしたら負けだとでも思っているのか……。

 相手は曲がりなりにも上司ですから、「何やってんだ。ベビーカーが見えないのか!」と叱りつけるわけにもいきません。もう少し穏便に「○○さん、こっちに移動しましょうか」と促すのが適切でしょうか。軽く腕をつついてもいいかもしれません。

 ただ、ベビーカーの存在には気づいているはずなのに、あえて素知らぬ顔をし続けている時点で、その上司が「ヘンな人」であるのは確定です。ヘタに注意したら、面倒臭い反応をしてきたり今後の関係に厄介な影響があったりするでしょう。

 そうした“被害”を避けるために、自分は別の場所に移動することで人としての務めは果たすとして、上司のことは放っておくという選択肢もなくはありません。

 しかし、ベビーカーを押している母親の戸惑った顔を見るのはつらいし、困った事態を引き起こしている元凶の関係者なのに何もしないと、激しい自己嫌悪に苛まれるでしょう。

 ここで上司を放っておくのは、その罪深さにおいて、素知らぬ顔でスマホをいじって立ち続ける行為と何ら変わりません。穏便な言い方で、上司を全力で移動させましょう。

電車の優先エリアにベビーカーを押した女性が乗ってきたのに、場所を譲ろうとしない上司…注意する?放っとく?