「腰が痛くて仕事に集中できない」「ストレッチしても治らない」――。
そんな腰の不調、じつは“冷え”や“運動不足”によって体のめぐりが滞っているサインかもしれません。
そんなときにおすすめなのが、整体師や鍼灸師の技を自分におこなうセルフケア「自力整体」。
全国で約1万5000人が実践し、「慢性痛から解放された!」「ぐっすり眠れるようになった!」と話題です。
新刊『すっきり自力整体』では、老廃物を流し、痛みや不調を根本からリセットする方法を紹介。
今回はその中から、手首を刺激して腰痛をやわらげるワークをピックアップしてご紹介します。
監修:矢上 裕(矢上予防医学研究所所長/自力整体考案者/鍼灸師・整体治療家)
写真:榊智朗 構成:依田則子

「腰痛は手首で治すこともある?」東洋医学の経絡刺激の力
東洋医学では、体内を「気(き)」というエネルギーがめぐり、その通り道を「経絡(けいらく)」と呼びます。
主要な経絡は約12本。体のさまざまな部位と内臓を結びつけ、全身のめぐりを整える役割を担っています。つまり、経絡とは体全体をつなぐ“目に見えないネットワーク”のようなもの。
ところが、座りっぱなしの姿勢や冷え、ストレスなどで体がこわばると、経絡の流れが滞り、老廃物がたまりやすくなります。
これがコリや痛みの原因です。
そこで役立つのが、東洋医学の「経絡治療」。
鍼灸や指圧などが代表的ですが、自力整体はこの理論をベースに、自分の手と体を使って経絡やツボを刺激し、滞りを解消する方法です。
たとえば腰痛の場合、腰そのものではなく、腰とつながる「手首まわりの経絡」を刺激して、痛みをやわらげることがあります。
患部に触れなくても痛みが軽くなる理由
実際、自力整体の考案者であり鍼灸師の私の父は、腰痛など体の後ろ側に痛みを抱える患者さんに対し、患部ではなく手首のツボ「腕骨(わんこつ)」など、経絡の要所に鍼(はり)を打っていました。
わずか30分ほど横になるだけで、「なぜここに打っただけで効くの?」と驚く患者さんが多かったのを覚えています。
患部に触れなくても痛みが軽くなるのは、経絡の流れが整うことで筋肉の緊張がゆるみ、骨格や内臓のバランスが自然と整うため。
自力整体では、この「経絡刺激」を鍼や灸を使わず、自分の手と体の動きだけでおこないます。
では、新刊『すっきり自力整体』から、手のツボを使って腰痛をやわらげる「手で腰痛なおし」のワークを紹介しましょう。
これは「小腸経」と「膀胱経」と呼ばれる経絡をほぐし、めぐりを整える方法です。
手で腰痛なおし!3つのステップ
画像を見ながらおこないましょう(※画像は書籍『すっきり自力整体』より抜粋)。


◎「手で腰痛なおし」のワーク
【ステップ1】
◆左手の小指側、手首近くの骨ぎわ(小腸経のツボ「腕骨」付近)を4本指でやさしく指圧。
腕を伸ばし、手首を直角に曲げて上下にゆらす
POINT:ツボは「点」ではなく、「エリア」としてとらえる
【ステップ2】
◆次に、左腕を前に伸ばし、親指側を上向きに。右手で左手の小指側をおさえ、軽く引き寄せながら手首を直角にキープ
POINT:ほぐれた気の流れを全身に通す意識で
【ステップ3】
◆次に、左手の小指を手前にゆっくり反らし、深呼吸
POINT:小腸経からつながる「膀胱経」まで流れがよくなり、腰の緊張がふっと抜ける
反対側も同様におこなう
※硬い側は長めにおこないましょう
時間に余裕があれば、『すっきり自力整体』に掲載の動画付き「20分ショートレッスン」もおすすめです。経絡をより深くゆるめ、全身のめぐりを整えることができます。
※『すっきり自力整体』では、このほかにも、整体プロの技法を応用したメソッドを多数掲載。老廃物の排出、コリや痛みの緩和、不定愁訴やゆがみの解消まで、自分でできる整体の実践法を紹介しています(★54分の動画付き)。
矢上予防医学研究所代表取締役
1984年、兵庫県生まれ。高校卒業後単身渡米、芸術大学プラット・インスティテュートで衣装デザインを学び、ニューヨークにて独立。成功を夢見て、徹夜は当たり前、寝るのはソファの上といった多忙な生活を続けた結果、心身のバランスをくずし動けなくなる。そのとき、父・矢上裕が考案し約1万5000名が実践している「自力整体」を本格的に学び、心身の健康を取り戻し、その魅力を再発見。その後、自力整体ナビゲーターとして、カナダ、ヨーロッパ各地、イスラエルにて、クラスとワークショップを開催。さらに英国の名門セントラル・セント・マーチンズ大学院で「身体」をより体系的に学び、2019年に帰国。現在、国内外の人たちに自力整体を伝えながら、女性のための予防医学をライフワークにしている。著書に、『すごい自力整体』『すぐできる自力整体』(ダイヤモンド社)がある。
自力整体オフィシャルウェブサイト
https://www.jirikiseitai.jp/
監修者:矢上 裕(やがみ・ゆう)
矢上予防医学研究所設立者、自力整体考案者、鍼灸師・整体治療家
1953年、鹿児島県生まれ。関西学院大学在学中の2年生のとき、予防医学の重要性に目覚め、東洋医学を学ぶため大学を中退。鍼灸師・整体治療家として活躍するかたわら、効果の高い施術を自分でできるように研究・改良を重ね「自力整体」を完成。兵庫県西宮市で教室を開講、書籍の出版やメディア出演などで注目され、全国から不調を抱える人々が続々と訪れるようになる。現在約400名の指導者のもと、約1万5000名が学んでいる。著書に『自力整体の真髄』『はじめての自力整体』『100歳でも痛くない 痛みが消える自力整体』(ともに新星出版社)など多数。自力整体の書籍は累計32冊、総発行部数は77万部を超える。遠隔地の人のために、オンライン授業と通信教育もおこなう。
※自力整体は矢上裕の登録商標です。






