オフィスで働くビジネスマン写真はイメージです Photo:PIXTA

言葉は頼もしいパートナー。あなたに力や勇気や幸せを与えてくれます。「大人の言い換え力」に磨きをかけて、日常のピンチを華麗に切り抜けたり、果敢に立ち向かったりしましょう!(クイズ制作/石原壮一郎)

クイズ

 社内の新プロジェクトのメンバーになった。「未熟者ですが微力を尽くします」と挨拶したら、先輩が渋い顔で「おいおい、微力じゃなくて全力を尽くしてくれないと困るよ」と言ってきた。

 謙遜したつもりなのに、先輩は「微力を尽くす」という慣用句を知らないようだ。このままだとヤル気がないと勘違いされてしまう。どう言ってわかってもらうか?

(A)「ほら、微力ながらとか微力を尽くすって言いますよね。それですよ」
(B)「控え目な言い方をしてしまいましたが、もちろん全力で頑張ります!」
(C)「うーん、日本語は難しいですね。頑張りますので、ご安心ください」

正解は……

B

× (A)「ほら、微力ながらとか微力を尽くすって言いますよね。それですよ」
◎ (B)「控え目な言い方をしてしまいましたが、もちろん全力を尽くします!」
△ (C)「うーん、日本語は難しいですね。頑張りますので、ご安心ください」

解説

 少し前にもある政治家が、SNSに「微力を尽くします」とポストして、一部のユーザーから「高い税金もらってんだから、全力を尽くせよ」と批判されたことが話題になりました。

「微力を尽くす」は謙遜した言い方で、力を出し惜しむと言いたいわけではありません。しかし、ごくまれに、先輩のように勘違いする人もいます。Aのように説明しても、先輩は何を言われているのかすら理解できないでしょう。

 Cの「日本語は難しいですね」は、雰囲気を和ませるために言ったつもりでも、先輩は「バカにされた」と受け取りそうです。ここはBの「この先輩にも伝わりそうな平易な言い方」で、あらためて真意を伝えましょう。ただまあ、先が思いやられる出来事ではあります。

石原壮一郎・コラムニストのプロフィール