利益の裏側にある、投資家の「規律」
シゲルさんの照れ笑いを見て、彼はふと思いました。この34万円という利益は、決して偶然の産物ではない、と。
私たち個人投資家がこの光景から学ぶべきことは、その利益額の大きさだけではありません。本当に価値があるのは、その「一撃」を可能にした背景、つまりシゲルさんの投資家としての「技術」と「規律」です。
「なんとなく」ではない明確な根拠
「さっきの注文」が、なぜ住友商事だったのか。なぜ、そのタイミングで注文し、そして数分後に「全部約定」させるという判断ができたのでしょうか。
それは、シゲルさんの中に「明確な取引ルール」が存在したからに他なりません。
市場が始まる前から、日々の膨大な情報収集と分析に基づき、「この銘柄がこの条件になったら入る」というシナリオを描いていたのでしょう。派手に見える取引の裏には、非常に地道な準備が隠されています。
「利確」こそが技術である
「おっしゃ、全部約定や!」
このセリフは、シゲルさんが「欲」をコントロールし、自ら決めたルール通りに利益を確定させたことを意味します。
多くの投資家が、含み益が出ると「もっと上がるかもしれない」と欲をかき、結果として利益を逃しがちです。シゲルさんの「一撃34万円」は、感情に流されず、冷静に利確(利益確定)するという、投資において最も難しく、最も重要な技術を実践した結果なのです。
この一瞬の輝きは、日々の地道な研究と、鉄の規律によって支えられています。私たちが目指すべきは、その金額ではなく、その姿勢そのものなのかもしれません。
※本稿は、『89歳、現役トレーダー 大富豪シゲルさんの教え』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。











