山本由伸投手の腕は、おそらく人生で最も重要な先発登板を終えてからまだ十分にクールダウンしていない状態だった。だが、彼の心は既に次に向かっていた。ロサンゼルス・ドジャースがワールドシリーズ第7戦まで24時間を切る中、山本は準備を整えていたかった。第6戦で96球を投げたばかりであることは関係なかった。デーブ・ロバーツ監督が起用を否定していたことも関係なかった。ドジャースを2年連続優勝から隔てるものはわずか1勝。チームが自分を必要とするなら、山本はマウンドに立つつもりだった。ドジャースが山本を必要としていたと言うだけでは、1日の夜に起きたことを大いに過小評価することになる。山本がワールドシリーズ史上最も勇敢で、信じがたい鉄人パフォーマンスの一つを披露していなければ、トロント・ブルージェイズが今頃パレードの準備をしていたというのが本当のところだろう。