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米連邦準備制度理事会(FRB)は、ジェローム・パウエル議長の8年近くにわたる在任期間中にはほぼ皆無だった内部対立が表面化し、利下げの道筋が不透明になっている。
FRB高官らは、根強いインフレと低迷する労働市場のどちらがより大きな脅威かを巡って分裂しており、公式経済統計の発表が再開されたとしても、この溝は埋まらない可能性がある。
この溝により、2カ月足らず前には実行可能に見えた「3会合連続の利下げ」計画が複雑になってきた。それでも投資家は、FRBが次回12月の連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利を据え置くよりも引き下げる可能性の方が高いとみている。
0.25ポイントの利下げを決めた9月のFOMCでは、参加者19人中10人という僅差の過半数が10月と12月の利下げを想定していた。3会合連続の利下げとなれば、パウエル議長下のFRBでは2019年と24年に続くものとなる。
しかし、タカ派は追加利下げの必要性に疑問を呈した。FRBが10月に追加利下げし、政策金利であるフェデラルファンド金利(FF金利)の誘導目標を3.75~4%にした後、タカ派の抵抗は強まった。12月にどう動くかを巡る議論は 特に激しく 、タカ派が今年3回目となる利下げに強く異議を唱えたことが、公式発言や最近のインタビューで明らかになった。
実際、パウエル氏が10月29日の記者会見でそうした利下げ期待を率直な言葉で後退させようとした主な理由は、埋めがたいように見える相違によって分裂したFOMCを何とか機能させることにあった。
この分裂は米政府機関の閉鎖によって悪化した。閉鎖により、そうした意見対立を調整するのに役立つ雇用・インフレ統計の発表が停止された。 経済データに空白 が生じたことで、FRB高官らは民間統計・調査を根拠に自らの景気認識の正しさを主張するようになった。







