FRBと日銀の金融政策がはらむ“AIブーム”リスク、米経済と雇用が乖離する「ジョブレス・リカバリー」の現実味Photo:Spencer Platt/gettyimages

日米金融政策が直面する
資産バブル加速のリスク

 FRB(米連邦準備制度理事会)が、29日に開催した10月のFOMC(連邦公開市場委員会)で、9月に続いて今年2回目の利下げを行う一方で、日本銀行は翌30日の金融政策決定会合で政策金利を据え置いた。

 日銀は1月会合での利上げからこれで9カ月間、政策金利を据え置いていることになる。

 2024年3月(マイナス金利解除)、24年7月、そして25年1月と3回の金利引き上げを行っているが、いずれもFRBの利下げを避けるようなタイミングで実施されている。日銀は自身の利上げに際して、FRBの利下げ動向との直接的な関連性を公式には認めていないが、結果的にそうなっているのは事実だ。

 日銀にとっても 米景気の減速懸念は利上げを考えるうえで大きな要因であり、また日米の金融政策が逆行する場合、為替相場の不安定化を生むことにもなりかねないからだ。

 だが来年にかけて、こうした日米の金融政策の“連関”は大きなリスクをはらむことになる。

 FRB、日銀の双方にとって最も政策判断が難しくなってくるのは、米国で、堅調な経済成長が続く中でインフレ懸念が後退してゆく状況が生じる場合だ。

 実際に米経済は現在、AIブームによる株式市場の活況などで、雇用悪化のもとで景気は堅調な「ジョブレス・リカバリー」の兆しが出始めているようにも見える。

 とりわけAI普及による生産性向上はインフレ率低下につながり、FRBが利下げを継続してできる状況になる。その場合に為替市場は、円高が進行すれば日銀は利上げのペースを減速させる可能性がある。

 そうなれば、日米双方で資産バブル加速という事態が起こり得ることに注意が必要だ。