「“考えすぎ”から解放された」
そんな感想が国内外から届いているのが、世界150万部突破・39か国刊行のベストセラーとなっている『STOP OVERTHINKING ── 思考の無限ループを抜け出し、脳が冴える5つの習慣』だ。Amazon.comでも13,000超のレビューで世界が絶賛する話題書がついに日本上陸。本書によって日本人が考えている以上に「考えすぎ」が恐ろしい事態を招くことがわかった。今回はライターの照宮遼子氏に寄稿いただいた。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)
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「もう終わりだ」と本気で思った、あの日
以前、センター試験(現・共通テスト)で思ったように点が取れず、自己採点しながら、頭が真っ白になった。
赤ペンを持つ手が震え、時計の音がやけに大きく響いた。
「もう大学に行かずに働くしかない」
――家庭の事情で国公立一本だった私は、急に世界が暗くなった気がした。
たった一度の試験で、人生のすべてが決まる。
そう信じ込んでいたあの頃の私は、未来を見る余裕すらなかった。
今振り返れば、あれは「思考のクセ」にとらわれ、状況を過大に解釈していたにすぎない。
世界的ベストセラーの教え
この冬も日本で話題となっている、全世界150万部突破のベストセラー『STOP OVERTHINKING』の著者ニック・トレントン(行動心理学修士)もこう述べている。
こうした過度の一般化はリスクを高め、不安を増やし、完璧主義の思考を強める。
――『STOP OVERTHINKING』(P.187)より
この「過度の一般化」は、日常のあちこちに潜んでいる。
取引先との商談で一度だけ連絡がつかなかっただけで、「自分は運が悪い」と思い込む。
慣れない仕事で小さなミスをすると、「やっぱり自分には向いていない」と落ち込む。
一度きりの出来事を「いつものこと」と思い込むたび、不安は増していく。
次こそ失敗はできないと力が入り、完璧を求めるほどに、また同じミスを繰り返してしまう。そうして、心は少しずつ消耗していく。
悪循環を断ち切る法
この悪循環を断ち切るには、まず言葉に注目してみよう。
「まただ」「いつもそうだ」「やっぱりな」
――そんな口癖が出てきたら、思考が広がりすぎているサインかもしれない。
次に、「事実」と「解釈」を分けてみる。
「一度タイミングが合わなかった」と「自分は運が悪い」はまったく違う。
慣れない仕事がうまくいかないのは当然のことだ。
本書が勧めるのは、「これは一度の出来事にすぎない」と自分に言い聞かせること。
サンプル数の少ない経験を、人生の法則にしてはいけない。
もちろん、完璧を目指すこと自体は悪くない。
けれど、一度の失敗を「自分の本質」と結びつけてしまうと、心が持たなくなってしまう。
「三流」「二流」と「一流」の決定的な違いとは?
失敗は、ただの一度の出来事にすぎない。
それ以上でも、それ以下でもない。
事実と解釈を切り分け、適切な対処ができるようになると、肩の力がふっと抜ける。
私はこれまで数々のプロフェッショナルを取材してきた。
その中で学んだことは、三流の人は「完璧を目指し」てしまい、二流の人は「8割で満足する」という考え方のクセがある。
一方、一流の人は「事実」と「解釈」を分け、「これは一度の出来事にすぎない」と自分に言い聞かせる。この決定的な思考グセの違いは、その後の運命を大きく決定づける。
センター試験のあの日から何年も経って、ようやく、思考グセの大切さを再認識した。本書に感謝したい。
(本稿は『STOP OVERTHINKING ――思考の無限ループを抜け出し、脳が冴える5つの習慣』に関する特別投稿です)









