いま世界150万部突破・39か国刊行のベストセラーとなっているのが『STOP OVERTHINKING ── 思考の無限ループを抜け出し、脳が冴える5つの習慣』だ。Amazon.comでも13,000超のレビューで世界が絶賛する話題書がついに日本上陸。今回はライターの照宮遼子氏に寄稿いただいた。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)

【頑張りすぎの罠】三流は「気合で乗り切る」、二流は「我慢で持たせる」、では一流は?Photo: Adobe Stock

ジャカルタで感じた体が発したSOS

 以前ジャカルタで働いていた頃、日本人スタッフは3人だけ。
 英語は得意ではないうえに、若い女性という立場。
「なめられたくない」と思うほど肩に力が入り、体は固まっていった。
 プレッシャーの中で走り続けることが、当たり前になっていた。

 けれど、ある日ふと気づいた。

「息を吸っても、全然入っていかない」

 ――それが、体が出していたSOSだった。

 その直後、ひどい頭痛に襲われた。
 歩くたびに後頭部がズキズキして、立っていられない。

 病院で診断されたのは、ストレス性の症状だった。
 点滴を打ってもらい泥のように眠った。

 ジャカルタは渋滞がひどく、これまで毎朝5時に起きていた。
 眠りは自然と浅くなり、心も体も常に緊張していた。
 今思えば、体はずっと前から限界を超えていたのだろう。

世界的ベストセラーの教え

 この冬も日本で話題となっている、全世界150万部突破のベストセラー『STOP OVERTHINKING』の著者ニック・トレントン(行動心理学修士)もこう述べている。

心と体は深く結びついていて、考えすぎにより脳が活性化すると、ホルモンが分泌され、体内で生理的な反応が起こる。それによって体は緊張し、収縮する。
――『STOP OVERTHINKING』(P.161)より

 考えすぎは脳だけでなく、体にもサインを出す。
 特に見逃してはいけないのが、筋肉の慢性緊張だ。

 常に戦闘モードでいると、体はずっと力んだままになる。
 肩がこる、首が痛い、頭痛がする。
 それは疲れではなく、脳からの指令で体が固まっている証拠かもしれない。

 思考や感情をやわらげることができないと、体全体の均衡が乱れてしまう。
「頑張らなきゃ」「負けられない」
 ――そのプレッシャーを抱え続けるほど、体はガチガチに固まっていく。

「一流」だけが知っていること

 本書では、体をリラックスさせることで心も落ち着く「漸進的筋肉弛緩法」が紹介されている。

 ラクな姿勢で、体の各部位を順番に緊張させてから緩めていく。
 いったん強く力を入れてから緩めると、力を入れる前よりリラックスでき、考えすぎのループから抜け出しやすくなるのだ。

 プレッシャーを消すことはできなくても、体のサインを見逃さずに立ち止まることはできる。
 考えすぎで体が固まったときは、頭を静めようとするより、まず体を緩めよう。
 肩を回す、深呼吸する。そこからリセットが始まる。

 三流は「気合いで乗り切る」。二流は「我慢で持たせる」。
 だが、それでは体が先に悲鳴を上げる。
 だからこそ、一流は「体を緩める」大切さを知っている。

 頭が限界を悟る前に、体はいつも先に知らせてくれる。
 頭痛や肩こりを「疲れ」で片づけないで、それは体からの「そろそろ休んで」というメッセージだと受け取る。
 考えすぎをやめたいなら、まず、体の声に耳を傾けよう。

(本稿は『STOP OVERTHINKING ――思考の無限ループを抜け出し、脳が冴える5つの習慣』に関する特別投稿です)