世界150万部突破・39か国刊行のベストセラーとなっているのが『STOP OVERTHINKING ── 思考の無限ループを抜け出し、脳が冴える5つの習慣』だ。Amazon.comでも13,000超のレビューで世界が絶賛する話題書についてライターの照宮遼子氏に寄稿いただいた。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)
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転職面接で増大し続ける不安
リーマンショックが起きた年の秋、私は転職活動をしていた。
ある会社の一次試験を受けたが、会場は人であふれていた。
「落ちたら今の職場のまま。それは最悪だ」
――そう思った瞬間から、不安が止まらなくなった。
試験後も、結果が出るまでの間、延々と「落ちていたらどうしよう」と考えていた。
もう試験は終わっている。自分にできることは何もない。
なのに、頭の中は不安でいっぱい。通勤中も、昼休みも、夜寝る前も、同じことばかり考えていた。
でも、ある日、「今できることは何もない。ならば、目の前の仕事に集中しよう」と切り替えることした。
不安は残ったままだったが、頭の中のざわめきが、ようやく遠ざかりはじめた。
世界的ベストセラーの教え
この冬も日本で話題となっている、全世界150万部突破のベストセラー『STOP OVERTHINKING』の著者ニック・トレントン(行動心理学修士)もこう述べている。
先のばしすることで、簡単に何かに気を取られたり、集中力を乱されたりしないようにする。
――『STOP OVERTHINKING』(P.169)より
本書では、「心配する時間を決めて、それ以外は考えない」技術が紹介されている。
これは何かと誘惑に振り回されがちな現代人には必須のスキルだ。
たとえば、仕事中や夜寝る前に心配事が頭を占領しそうになったら、「明日の10時に考える」と決める。
それまでは、心配を脇に置いて、今やるべきことに集中する。
心配を完全に消す必要はない。
ただ、心配に支配される時間を減らすことはできる。
意識の行き先は、自分で決められるのだ。
不安があっても、「今考えること」と「後で考えること」を区別するだけで、頭の中がすっきりする。
「失敗したらどうしよう」で
動けなくなる人の致命的ミス
結果的に私は採用試験に受かり、転職に成功した。
つまり、あの心配は杞憂に終わったというわけだ。
今となっては、モヤモヤするくらいなら、落ちたときのために、何か行動したほうがよかったのではないかと思う。
別の求人を探す、スキルを磨く、人脈を広げる。そういう「今できること」に時間を使えばよかった。
「失敗したらどうしよう」と考えている時間は、ただの空回りだ。
不安は消えないし、何も前に進まない。
むしろ、不安が不安を呼んで、どんどん大きくなっていく。
この「動けない時間」を長期的に見ると、致命的なミスにつながる。
結果が出る前から「失敗したらどうしよう」と立ち止まるのではなく、目の前の行動に意識を戻す。それだけで、少しずつ前に進める。そんな貴重なスキルを本書は再認識させてくれた。
(本稿は『STOP OVERTHINKING ――思考の無限ループを抜け出し、脳が冴える5つの習慣』に関する特別投稿です)









