いま世界150万部突破・39か国刊行のベストセラーとなっているのが『STOP OVERTHINKING ── 思考の無限ループを抜け出し、脳が冴える5つの習慣』だ。Amazon.comでも13,000超のレビューで世界が絶賛する話題書についてライターの照宮遼子氏に寄稿いただいた。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)

【自己評価の罠】「成功か失敗か」で判断する人の残念な思考・ワースト1Photo: Adobe Stock

「自信をすり減らしていく人」の特徴

 後輩がミスをしたとき、「次、気をつければ大丈夫だよ」と声をかける。
 友人が悩んでいたら、「そこまで自分を責めなくていいよ」と励ます。

 でも、自分がミスをしたときの対応は全く異なる。
「なんでこんな簡単なことができないんだ」
「やっぱり自分はダメだ」
 と、容赦なく自分を責め立ててしまう。

 他人には70点でも、「よく頑張ったね」と言えるのに、自分には100点以外認めない。
 それは決して特別なことではなく、多くの人が自分にだけ厳しくなってしまう。
 真面目で責任感のある人ほど、その傾向が強い。

 この二重基準が、自分を追い詰め、自信をすり減らしていく。

世界的ベストセラーの教え

 この冬も日本で話題となっている、全世界150万部突破のベストセラー『STOP OVERTHINKING』の著者ニック・トレントン(行動心理学修士)もこう述べている。

オール・オア・ナッシング思考「白か黒か」という尺度でしか物事を判断しない単純すぎる思考のこと。(中略)
これでは、妥協や創造性、細かなニュアンスが切り捨てられ、無力感や抑うつ、融通の利かなさが生じやすい。

――『STOP OVERTHINKING』(P.186)より

 完璧にできたときだけ自分を認めていたら、ほとんどの日は「ダメな自分」になってしまう。30代前半にインドネシアで働くことになった私は、この思考のクセに初めて気づいた。

 現地の同僚が、小さなミスをしても、「まあ、いっか」と笑い飛ばす姿を見て、最初は驚いた。

 日本なら「すみません」と謝り続ける場面だ。
 それでも誰も責めることなく、仕事は穏やかに続いていく。

 ある程度できていれば「よくやった」とほめ合う彼らを見て、ハッとした。
 誰も私に完璧を求めていないのに、私だけが自分自身を追い詰めていたのだ。

「心に余裕がある人」の特徴

 他人に優しくできる人は、本当は優しい人だ。
 その優しさを、自分にも向けられるかどうか。
「完璧にできなかった=ダメだった」ではなく、「70点でもよくやった」と言えたとき、少しラクになる。

 他人に「次、頑張ろう」と言えるなら、自分にも同じ言葉をかけてみよう。
 白か黒かで測るのをやめて、グレーを許容する――それが、自分に優しくするということだ。

 完璧な自分を目指すのをやめた瞬間、今の自分を認められるようになる。
 そうやって少しずつ、心の余白を取り戻していく。
 その余裕が次の挑戦を後押ししてくれるのだ。

 インドネシアの同僚たちのように、「まあ、いっか」と笑えたとき、肩の力がふっと抜けた。

(本稿は『STOP OVERTHINKING ――思考の無限ループを抜け出し、脳が冴える5つの習慣』に関する特別投稿です)