「“考えすぎ”から解放された」
そんな感想が国内外から届いているのが、世界150万部突破・39か国刊行のベストセラーとなっている『STOP OVERTHINKING ── 思考の無限ループを抜け出し、脳が冴える5つの習慣』だ。Amazon.comでも13,000超のレビューで世界が絶賛する話題書がついに日本上陸。本書によって日本人が考えている以上に「考えすぎ」が恐ろしい事態を招くことがわかった。今回はライターの照宮遼子氏に寄稿いただいた。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)
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「静かな時間泥棒」の正体
ライターになったばかりの頃、取材の文字起こしは全部自分でやっていた。
でも、あの作業が本当に嫌いだった。
1時間の取材を文字にするのに、平気で何時間もかかる。
内容は頭に入っているのに、指を動かすだけで時間が溶けていく。
「この時間を、構成を練るほうに使えたら」と何度も思った。
いまはAIが代わりに文字起こしをやってくれる。
正直、人生で一番助かっているツールかもしれない。
私はようやく、「文字を起こす時間」から解放され、「考えを起こす時間」に集中できるようになった。
世界的ベストセラーの教え
この秋も日本で話題となっている、全世界150万部突破のベストセラー『STOP OVERTHINKING』の著者ニック・トレントン(行動心理学修士)もこう述べている。
――『STOP OVERTHINKING』(P.136)より
ここでいう「シャローワーク」とは、誰にでもできる、思考の浅い作業のこと。
メールの返信、単純なデータ入力、ルーティン業務など、集中力を要せず流れ作業のようにこなせるタスクを指す。
その対になる概念が「ディープワーク」だ。
戦略を練る、構成を考える、新しいアイデアを生み出すなど、思考と集中を必要とする深い仕事を意味する。
「今日は片づけるぞ」と意気込んでも、調べものや準備に時間を取られ、気づけば一日が終わっている。
そんな日を繰り返さないために、本書が推奨するのが「タイムブロッキング」だ。
1日の時間をブロックごとに区切り、タスクを割り当てる。
休憩や余暇も予定に組み込み、1つの時間帯では1つの仕事に集中する。
そうして深い仕事のための時間を確保することで、流される1日から、自分で時間をあやつる1日へと変えられる。
「三流」「二流」と「一流」の決定的な違いとは?
私は文字起こしという「シャローワーク」を手放したことで、自分のエネルギーを構成や発想という「ディープワーク」に振り向けられた。
忙しさの正体は、「シャローワーク」の積み重ねだ。
シャローワークまみれになると、達成感は奪われ、むなしさだけが積み重なっていく。
むなしさは自らの時間を残酷に溶かし始める。
だが、その時は気づかない。しばらく経って「時間が溶けていた」「時間を膨大に無駄にしていた」ことに気づく。
その時、トテツモナイむなしさに気づく。この瞬間は残酷だ。
そうなっては遅い。だが、それを繰り返してしまう。では、どうしたらいいんだろう?
まずは、全部をこなそうとせず、手放せる仕事を見極める。
浅い仕事を減らす勇気こそが、深く考える余白をつくるのだ。
三流は「全部やろう」とし、二流は「効率化で乗り切る」。
だが、それでは時間は増えない。
だから一流は「余白をつくる」。
本書が教えてくれたのは、時間を詰めることより、空ける勇気のほうがずっと価値があるということだ。
AIのおかげで、人間は浅い仕事から解放され、深い仕事に専念できるようになった。
自分の時間をどんな仕事に使うかを決めることが、AI時代のいちばん大事な時間管理ではないだろうか。
(本稿は『STOP OVERTHINKING ――思考の無限ループを抜け出し、脳が冴える5つの習慣』に関する特別投稿です)









